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触れられぬ戦士

作者: TOMMY

右手には剣。左手には盾。全身には甲冑。西洋風の戦士はガシャンっと重たげな金属音を響かせながら街を一直線に歩いた。当初はイベントの類と思われていた。しかしその戦士は、人も建物もすり抜けた。触れることのできない戦士。人々はその得体の知れなさを恐れ、あっという間にその光景は全世界に伝わっていった。甲冑の戦士は何日も歩き続けた。そして全世界に生中継が繋がった途端、突然立ち止まった。そして空高く剣を掲げた。人々は息を飲む。次の瞬間、剣が一閃。その刃が空気を切り裂く音が響き渡り、見る者すべてが圧倒される。空中に現れたのは細い金の筋。その光が広がり、まるで空間が波打つように揺れ動いた。街の空気は重く、沈黙が支配する。人々の心には、その光景を二度と忘れることができないような、奇妙な感覚が芽生えていた。光がゆっくりと消える時、甲冑の戦士は「目覚めよ、血脈の元に」と呟き、静かに消えていった。その翌日。人々が目を覚ますと、自身の身体に違和感を覚えた。右手には剣。左手には盾。全身には甲冑。そして、それが当たり前になっていた。触れられぬ甲冑は、あの光景を見た者の前にだけ現れた。そして人々は決して交わることのない二種類の種族に分かれた。あの光景を見た者とそうでない者に。

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