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車窓の海、揺られる君と。  作者: びすけ
夏至、梅雨、夏中。
23/42

22, Is Angel Number.(2)

 櫨田(うつぎだ) (あきら)


 僕は普通の人間だ。

 運動神経も普通。

 性格も特段陽気である訳でもなく、内気である訳でもない。

 どこにでもいる、普通の少年。


 ただ、なんの個性も才能も無い、規律に従う事しか出来ない人間。


 それでも、僕には特段好きになったものがあった。


 それは、文藝だった。


 作文は下手でも言葉で読み表せば分かりやすくなったり、話すと難しいが文章に示せば鮮明に理解できるようになったり。

 同じ言葉でも、受け取る人のニュアンスが多少違っていたり。


 書く人、読む人、話す人、聞く人によって顔色を変える。

 僕らには分からないはずがない、ことば。


 僕には才能がなかった。

 それでも、才能があると錯覚させる。

 そんな文藝が、僕は好きだった。


 読み書き話し、1人でも十分楽しかった。


 だが、人は同じ仲間を見つけたい性なのだ、中学では文藝部に入部した僕。


 少しばかり部活に熱が入っている学校であった分、やはり1人ずつの成果は重視された。


 そこで何人か同じ趣味を持つ者も見つけた。

 読書や創作に熱を入れた時期もあった。

 が、2年生の初めてのコンクール準備。

 その時にはもう、僕しかいなかった。


 若者の活字離れ。

 そう実感するには、とても顕著な事だった。


 コンクールは断念。

 その後も、コンクールに作品を出したことは無かった。


──「お前さ、文章書くだけなのに、なんでマジになれんの?……すげーよ」


 何処か凄いと思わせる口振りと表情。

 だが、何処か馬鹿にしているようにも取れる。


 同じ言葉でも、受け取る人のニュアンスが多少違う。


 僕は後者を採った。


 中学の3年間、熱を入れた文藝。

 時間の無駄とは思っちゃいない。


 でも少し、他のことに費やせば良かったと心から思った。


 辛く感じる、読み書き話し。

 作品は見てもらおうにも、誰の手にも収まらない。


 見てもらっていても、理解はされなかった。


 やっぱり、才能ではなく言葉が僕を才能であると錯覚させていたのだ。

 僕は、文藝を諦めた。いや、嫌いになった。


 僕は殺した。僕の大好きを。


 中学3年生の3学期、受験、高校に上がったこと。

 その後の事はよく覚えていない。


 知りたくも無い。

 疲れた。

 このまま眠っていたい。


 ……日」〜、「東立日」〜。……』


「あっ、やっと起きた!」


 目を擦る僕を見て喜ぶ少女。

 陽射しが眩しい。


「ごめん、寝てたみたい」


「いいの!疲れてたみたいだし」


 僕らを照らす夕陽は、今日の終わりを告げる。


「今日の景色、夕陽いつもより『綺麗』だったんだよっ!」


 ドアが開く。

 少女は元気よく降りる。


「じゃあね!」


 僕にとって、夕陽はただの色が濃く着いた太陽に過ぎない。


 しかし、人々は「綺麗」「儚い」などと、夕陽を過剰に美化する。


 ただの太陽でしかないのにね。

 青森弾丸旅行、楽しかったです。

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