プロローグ
誰もいない車両に、夕暮れが差し込んでいる。
海岸通りを走るこのローカル線で、同じ景色を見ることだろう。
オレンジ色に染まった空と海が溶け合い、電車の窓に映る自分の姿さえも茜色に染めていく。
毎日同じ時間、誰もいない車両で始まる帰り道。
そして途中駅から乗り込んでくる一人の少女。
彼らは決まって同じ場所に座り、同じように夕暮れを見送る。
高校生の彼は、いつも海の見える窓の向かいに。
中学生の彼女は、いつもなんとなく隣で今日の出来事を口にする。
それを皮切りに何気ない会話を交わす。
ただそれだけの放課後。
違う日常を送る二つの帰り道。
潮風に揺られる制服。
車内に響く少女の声。
時に赫灼とした夕陽を見つめる横顔。
この車両の中だけは時間が優しく、遅遅と流れていく。
夕暮れが終わり、それぞれの終着駅に着くまでの間、その僅かな時間。
それは誰にも気付かれない小さな他愛ない物語の始まり。
お読み頂きありがとうございます!
不定期更新にはなりますが、時間がかからずパッと読める小説を少しずつ書いていこうと思います!
そこで……良ければですが、物語進行のアドバイスや誤字、表現の間違い、指摘など……拙著についてのご意見等ございましたら、書いていただけると嬉しいです!
辛口評価、待ってます……!
お褒めの言葉は幾らでも頂けたら嬉しいですが……。
何卒、拙著をよろしくお願いします!
──びすけっとこと現役専門学生。