7話ゴーレム
「魔法術式がない...ということは...これは本当にゴーレムなのか?というか、4いったいどこで作られたのか...この近くによく、機械部品が出るが関係あるのかな?」ヘリーネさんは独り言を言っていた。
僕らはその間、解析されているゴーレムを見学していた。
「にしても、このゴーレム硬かったな」
ルナはそういいつつ、装甲をたたいた。
こいつ起動させて、僕らを殺すつもりなのか!。
へリーネさんは笑いながら言う。(怒りを抑えて)
「ルナさん、修復中なので急に動き出すかもしれないですよ。また壁に叩きつけられたくなければ、おやめになったほうがいいです」
「さっき叩いたけど、何もならなかったよ。だから大丈夫!」
ルナはのんきなことを言ったせいで、体全部を縄でしばかれてしまった。
ミレアは怖がって僕の後ろにかくれた。
18mもある巨大なゴーレムだからな、正直僕も手が震えるほど怖い。
武装や部品が外れているとは言え、大きすぎる。
「フェルナンド怖いよ」
「大丈夫、もし何かあったらヘリーネさんが助けてくれるから」
頼むからゴーレム動かないでくれよ。
そんなことを思っていたら。
隣からガサガサとおとがしだした。
気づけばルナは縄をほどき、工具を漁っていたのだ。
コメルは言う。
「まさかだけど、アイツやらんよな?」
しかし、ルナは「見つけた」と、言いながら大きなハンマーを持ってゴーレムに近づく。
「冗談はそのくらいにしてくれ」
「昨日のお返しだー」
バチコーン
ルナは気合いを入れて、ゴーレムの腕を粉砕した。
これで動きださなければ、逆におかしい。
頼む、動かないでくれ。
ガタン
ゴーレムが傾いた。
あっ僕らここで終了なのかな?
頭が不自然こちらにこちらを向いた。
びびってルナは僕の後ろにかくれた。
「どうだ!やったか」
もうどうなっても知らんぞ。
しかし頭から赤い点がチカチカと点灯していたのが気になった。
突然肩に圧を感じた。
気づけばヘリーネさんが僕とコメルの肩に手を当てていた。
「お二人さん、そろそろアイツやっていいですか?」
ヤバい、このままだと俺らも殺される。
コメル頼む、ここだけはルナを庇うのはやめろ、でないと僕たちの命が...
「煮るなり焼くなり好きにしてください。ルナって生物は、知りませんから」
コメルくん!君ルナの見方だったよね?
かばわなかったのはよかったけど...気のせいかな?煮るのは、さすがにひどくない?
それを聞いた、ヘリーネは笑顔で縄を持ち言った。
「では先ほどとは比べ物にならないくらい、痛い目に、あってもらいましょう」
アイツ死んだな。
ルナはその後、鉄の縄で顔が見えないほど体を巻かれ、終いに宝箱にぶちこまれた。
「だしてくれー」
さーて、天災も消えたことだし。ゆっくりしよっと。
チクタクチクタク
気のせいだろうか、ゴーレムから時計の針が動く音がする。
「どこかに時計ないかな?」
ミレアも、そのおとが聞こえていた。
気のせいではない、何かが動いている。
ゴーレムの心臓部分からその音は聞こえた。
「ヘリーネさん、真ん中から何か聞こえます、調べた方がいいのでは?」
「真ん中?真ん中にあるのは魔法石だけですが、音なんてしないはずですが...」
僕はその時、手汗が止まらないほどの事を思い出した。
母国ルラン魔法王国でのはなしだ。
魔法石を届けて数ヶ月がたったときの出来事を。
それはレナシータの首都シタナ爆破事件だ。
僕らが渡した魔法石が辺り全体を吹き飛ばし従業員60人が亡くなる悲惨な事故であった。(交渉した人は生きてたらしい)
原因は実験の失敗だとか、後々判明したのだが、魔法石はウランと非常に相性が悪く、一定の条件が揃えばとてつもない爆発を起こす。
運悪く、そのとき条件が揃えてしまったのだ。
ここで知って欲しいことがある。
ゴーレムは基本的に、人工以外では作られない。
それだけじゃない、このゴーレム、失われた古代兵器技術である連射可能な銃を持っていた。
それだけの技術があった人たちが爆発することを知らないはずがない。
つまり時限爆弾。
「タイマーらしきものを確認、残り60秒を指しています」
解析していた、部下が言い出した。
「フェルナンドたち、この倉庫から逃げろ。分析係は集めた資料を急いで持って出ろ。辺りが爆発するぞ」
ヘリーネさんは皆に言った。
僕はミレアを両手で持ち倉庫をあとにした。コメルはヘリーネと一緒に資料を持ち出した。
26、25、24
時間は着々と進んでいた。
「全員撤収だ、ここ全体が吹き飛ぶぞ」
外にいた研究者たちにも伝え、逃げた。
5、4、3、2、1。
倉庫と隣の建物は吹き飛んだ。
逃げていたもの、僕らにも爆風を襲った。
それにより、持っていた道具は地面に叩きつけられた。
研究者は全員無事でなんもなかった。
ヘリーネは生存チェックをしだした。
「フェルナンドさんたちは全員いますか?」
「はい、全員います」
ミレア、コメルを見てヘリーネさんはいいだした。
「ルナさんは、どこにいるんですか?」
あっやべ。
コメルと目があった。
閉じ込めてた宝箱置いてきちゃった。待てよ、ってことはいまどこに...。
倉庫に戻ったがいない。
「ルナどこだー」
大声で僕らはルナを呼んだが反応がない。
研究者たちと共にルナを探し始めた。
本当に死んでたらどうしよう。
そんなことを考えていると、ヘリーネの部下が
「宝箱を見つけたぞ」
もしかしたらなかにまだ...
しかし希望もむなしく、宝箱は無惨に溶けていた。
これは夢だと言ってくれ。
「なんでこんなことに」
目の前でコメルが跪いた。
本当に死んでしまったのか?。
いや、そんなはずはない。
あってはならない。
その時、後ろで騒ぎが聞こえだす。
「なんか地面から巨大な芋虫出てきたぞ」
その芋虫はどこかで見たことがあるような形だった。
「やっと外へ出れた。ヘリーネに見つかる前にこの縄から抜け出さないと」
出てきた芋虫は、縄でしばかれたルナであった。
「生きていたか!」
奇跡だ。
いや、ルナだからあり得るのか。
「えっなんで倉庫がないの?と言うか何があった?」
そうやって俺らはまた一日を終えた。