国王陛下が女の子なのを私だけが知っている
「陛下!お世継ぎはまだですかな!」
じいやさんはいつも陛下の顔を見るとこう言います。
身長2メートル100キロを越える陛下もじいやさんには頭が上がらず苦笑いする。
「女王も女王です。もっとうっふーんと陛下を誘惑なされたらどうか!」
「うっふーん……ですか?」
私ごときのうっふーんで陛下を欲情させられるとは思いません。
私の体は貧相だし何より……陛下は『女の子』ですもの。
私。見てしまったんです。浴場で陛下とたまたま鉢合わせた時に陛下の股間に『あるべきものがなかった』のを。
陛下は『……誰にも言わないでくれ』とおっしゃりました。
言えるわけありませんよ。自ら前戦に立ち『頂点にして最強』と呼ばれる前の戦争の英雄が女の子だなんて。
それに陛下には大恩があります。
ただの村娘だった私をお嫁にしてくれた事で貧しい私たち家族は救われたのです。
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「それでな。俺の巨根で一晩で5人の女を逝かせてやった。『こんな大きいのはじめてー』ってな!」
隣国の王との会食。この方は悪い人ではないのですが下品なお人です。女の子である陛下の前でそんな話を!陛下も顔を真っ赤にして下を見てモジモジしています。
私が助けないと!
「陛下!あちらで二人きりでお話しとうございます!」
「……おお。分かったから。引っ張るな引っ張るな」
「おーおー。新婚はお熱いねぇ。羨ましい」
ふー。何とかなりましたね。陛下!私がこれからもお守りしますよ!
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「……腹が痛い」
陛下が私にそう耳打ちしました。分かりました!生理ですね!?お可哀想に。男として生きている限り薬師に『生理痛に効く薬をくれ』とは言えないでしょう。
煎じますよ!私が煎じます!我が家に伝わるとびきりの腹痛止めの薬があるのです!
「うむ!よく効く薬だな!いやぁ昔からミルクを飲むとすぐにこうなってな」
陛下。私には正直におっしゃって下さいな。恥ずかしがらずとも良いのです。
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「お止めください!」
「な……なぜだ?お前が止めろと言うなら止めるが……」
戦闘訓練とはいえ女の子が武装した兵士達と戦うのは抵抗があります。
「……女王。止めるならもっと早く止めていただきたかった」
止めるのが遅すぎたのかもう立っている兵士はいませんでした。
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「今宵私の部屋に来てくれ」
陛下が顔を真っ赤にして私にボソリとそうおっしゃいました。何でしょう?女の子同士にしか出来ない話でしょうか?
「こ……子作りをするぞ」
「はぁ」
女の子同士でどうやって?……代理の方がいる?いいえ。それはお断りしましょう。同性とはいえもう私の心は陛下の物。見ず知らずの男を受け入れる事など出来ません。
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「はー」
陛下は巨乳ですねぇ。貧乳の私には羨ましい限りです。うっとりしてしまいます。
「……あまり胸筋をジロジロ見るな」
「失礼しました!」
私は陛下ばかりに恥ずかしい思いはさせられないと服を脱ぎ、視線を陛下の股間に移しました。うーん。やっぱり女の子です。
「陛下。やはり女同士で子作りは無理かと」
「女同士?」
「ええ。陛下にはペニスがありません」
「ああ。そういう事か。そういえば風呂の時も眼鏡を外していたな。恥ずかしいが。眼鏡をかけてよく見てみろ」
眼鏡?裸で眼鏡は逆に恥ずかしいのですが。どれどれ。改めて拝見させて頂きますね。
「あれ!?ある!」
「あるに決まってるだろ!大男なのにこのサイズ。これが私のコンプレックスだったんだ」
さくらんぼが3つ並んでいるみたいだなー。これは裸眼では見えないなーと思いましたが口には出しませんでした。
そうかー。陛下は男の人でしたか。安心しました。
「では心置無く子作りしましょう!」
「……こんな粗末な私でもよいのか?」
「私は陛下の全てを愛しています!陛下のモノ以外受け入れることは出来ません」
「心から嬉しく思う。私もお前を愛しているぞ」
「わっ!」
「おっ?おっおっ?私としたことが」
陛下!これなら裸眼の私でもハッキリ見えますよ!
ご立派です!まさに王の剣!
この夜は忘れられない素敵な夜になりました。