darkgame-teamB
「・・・それにしてもはやくいきてーなあ・・・。」
浩司がそうつぶやいた。その声を聞き、今太郎がこういった。
「じゃあ、もう行く?」
浩司がこっちを向く。その目はいつもと変わらない。
「だな・・・。」
いつの間にかもうみんな先にいってしまった。そう、今太郎が怖がっているせいで、最後に行くことになったのである。浩司は最後が嫌いだった。何事にも1番がよかった。だから、今太郎があまり好きではないのだ。
浩司は墓場に向かって歩き出す。今太郎は後ろからくっつくようについてきた。もう、チームAがスタートしてから1時間が経っていた。
今太郎の顔がかすかに青ざめている。浩司は小さな声でへへへ、と笑った。今太郎は気づかない。
墓場の入り口の前に来た。まだ誰もきていない。つまり、まだ勝つ可能性はある!今太郎には悪いが1人ででも、今太郎とはぐれてでも、1位になりたい。なので、少し歩くペースをあげた。
「ねえはやいよおおおお」
「がんばってついてこよう。」
「・・・はあーーい。」
予想通りに今太郎は、早くも疲れているようなそぶりを見せた。体力の無さ過ぎだ。今太郎は確かパソコン部だ。その理由は、スポーツが苦手だかららしい。今、はっきりとスポーツが苦手だということが証明された。まだ歩き出して3分も経っていないのである。サッカー好きの浩司には体力の限界というものをあまり知らなかった。少なくとも、歩いて疲れるということは決して無い。走って疲れるということはずっとしていればあるかもしれないが。
周りはライトをつけていなければ何も見えないというぐらい、暗かった。闇に包まれた感じである。そこをスタスタと歩くとその音だけが響きわたり、そして闇の中に消えていった。
「ろうそくちゃんはどこかなあ?」
ろうそくはまだ見つからない。どうやら、かなり難関のようだ。何しろ、今は夜なのだ。ろうそくを探すのにも一苦労である。
今太郎がつぶやいた。
「なんか、思ったより広いような気がする・・・。」
「ふん、気のせいだろ。」
「う〜〜ん、そうかなあ・・・。」
「そうに決まってるさ。」
今太郎は予想以上に浩司のペースについてこられている。この分だと2人でゴールすることになるだろう。1位になれるのなら別にそういうのはどうでもよかった。
「・・・ねえ、知ってる?」
「ん?何を??」
浩司は振り返らずに話すことにした。話している時間もろうそく探しに当てたいからだ。
「ここの墓場のうわさだよ。」
今太郎の声が少し、低くなったような気がした。その声に浩司は少しの違和感を感じた。
「うわさ?ナニソレ?」
「・・・知りたい?」
今太郎の声に、少しの不気味さを今度は感じ取った。
「当たり前ジャン。めちゃ知りたい。」
「・・・昔、このお墓はある儀式が行われているところだったのじゃ。」
「ギシキ?」
今太郎が今度は老人のような声になったが、怖がらせるだけだろうと思い、あまり気にしないことにした。しかし、その声は徐々にではあるが、老いていっているような感じでもあった。