darkgame-teamA
ここは、墓場だ。この遊びをヤミノゲームと名づけているが、実際はただの肝試しだ。
ルールは簡単だ。このどこかに隠されているろうそくを探し出して、それに火をともして、それが消えないうちに、墓場から外に出ればクリア。もし、その時にほかにクリアしたものがいれば、引き分けとなる。
洋平自身、別に勝ち負けはどうでもいい。このスリルさえ、味わえさえできればいいのだ。
もともと、この遊びはスリルを味わうために作った遊びだ。
洋平はライトの光をあたりに当てまわした。ろうそくを探すためだ。裕也も探している。
「見つかんねえな〜・・・。」
「う、うん・・・・・・。」
裕也の口調がなぜだか少し緊張気味だ。まあ、それも仕方がないことだろう。
ここは、墓場だからだ。洋平は平気で、逆にわくわくしている。今にも幽霊が出そうな雰囲気が漂っているからだ。
「ここにも、ないよ・・・。」
「よし!次行こうぜ!!」
洋平が大声でそう言うと裕也はこう言った。
「し、静かにしようよ・・・。」
「なんで?」
裕也がそういう理由はもうわかっている。きっと、幽霊が本当に出るとでも思っているのだろう。ばかだな・・・。
「そ、それは・・・。」
「それは?」
「・・・。」
「黙り込んでじゃわかんないな〜〜。」
「なんでもないよ・・・。」
「本当かな〜?」
「ほ、本当だよ!あ・・・。」
「お前も大声出してんじゃんか。」
「・・・もういいよ。おおごえだしても・・・。」
ふふふ・・・、洋平はそっと裕也が分からない程度に小さな声で笑うと、再びろうそく探しを開始した。それにしても、裕也はこういう人なんだなと思った。裕也は友達などが大勢いるところでは、怖がっていないが、友達が少なくなると怖がる。本当に面白い性格だ。本人は気づいていないだろうが、こういう性格なのだ。
「ね、ねえ・・・。」
「なに?」
「さっきから・・・うしろに何かいるような気がするんだけど・・・。」
「ふ〜〜ん・・・そんなわけな」
そう言いかけて、言うのを止めた。自然と足の動きが早まる。
洋平はそっと小さな声で、それでもって焦りを合わせた声で裕也に言った。
「走るぞ・・・。」
洋平は自分がこんなことを言ったのに驚いた。そして走り出す。
「ま、まって・・・。う、うあああああああああ!!!」
裕也の悲鳴が聞こえてきた。脳裏にいやな、想像してはいけないような妄想がよぎる。
洋平は振り向くことなく走り続けた。さっきの、幽霊の件は訂正だ。
幽霊をまだ見てはいないが信じる・・・。
・・・?さっきのをいまなぜ自分は幽霊だと思ったんだ?今自分が思ったことにも疑問を持った。必死に何か得体の知れないものから逃げながら。少なくとも他の人が見ればそう見えている筈である。