video
「早速みよーぜ!」
「ちょっとまてよ。」
頑太はかなり見たがっている。一人じゃ見れないくせに他の人と一緒に見るとなるといつもこうだ。そして、見終えた後に汗だくで全然怖くないというのだ。その時は大抵、あっそだのへぇ〜だので、スルーする。
亮は頑太の持っているものを見た。
手には紙袋がある。おそらくその中に、あの2本のビデオテープが入っているのだろう。ビデオテープの内容はおそらくショーもないことだと思う。
ただ単に、怖がらせようと作ったフィクションだろう。この世で、ユーレイなんているわけないのだ。亮はそんなことは信じない。みんなも信じていないのだろう。テレビでたまに、心霊写真や心霊ムービーなどを放送したり、除霊だとかいって、何かを唱えたりするものを放送したりするのだ。2度くらい見たことがあるが下らない。熱中してみている人の気持ちが全く理解できない。
頑太は亮の部屋に何の断りもなく入った。いつものことなので、亮はやれやれと小さな声で言いながら頑太に続いて自分の部屋に入った。
中に入ると早速頑太はビデオテープを取り出す。ふつうはビデオテープではなく、DVDにしてほしいところだが、別に面白いものを見るわけではないのでいい。
前に楽しみだと言ったがそれは頑太が来るから楽しみなのだ。頑太が来ない状態で見てもおもしろくもなんともない。ホラー系をみている、頑太のリアクションが面白いのだ。
「ここに入れるんだよな?」
いつの間にか準備を終えたのだろうか、頑太はビデオテープを手に持っている。
「そうだよ。」
確認を終え、頑太はビデオテープを入れて、テレビのチャンネルをビデオ2にした。
そして、巻き戻しをして、再生ボタンを押した。
「それどっち?」
「ヤミノゲームだと思う。」
「確信ないのかよ。」
そう言われ、頑太は頭をポリポリと書いた。
「・・・ない!!」
ハッキリ言った。それに亮は爆笑した。頑太は顔を赤らめる。
「わかったわかった。ほら始まるぜ、見よ。」
「おう!」
テレビの画面を見る。そこには暗闇の中で中学生ぐらいの男たちがじゃんけんをしているのがうつった。
暗闇ということはおそらくヤミノゲームなのだろう。
「これ、ヤミノゲームだ!!」
頑太はにんまりと笑った。いつも見ている笑顔だ。だが、なぜだかまた、よくわからない1種の不安が亮を襲った。
なんなんだ?いやな予感がおこりそうな気がする。・・・。
とりあえず今は忘れて、テレビの画面に映っている(ヤミノゲーム)をみることに専念することにした。