darkgame-teamDandE end
陰と智紀の目の前には片腕がない老人が歩み寄ってきているところだった。智紀は警戒した。 陰がその老人のほうへ向かった。老人は足を止め、にやりと笑った。
「サイゴノヒトリカ。」
陰が笑いをこらえきれずに肩を震わせる。
「なに言ってんだよ。お前ら。陰、どうしたんだよ!!」
陰は智紀の言葉には反応を示さなかった。ただ、ずっと智紀を見て、にやついている。
老人が真顔になった。
「オマエモギセイニナルノジャ。」
「犠牲?何のことだ!!」
「フフフ・・・。シルヒツヨウモナイ。」
智紀は危険を感じ取り、後ずさりをしようとした。が、何かにつまずいたのか、後方へ倒れてしまった。それを見た。見てしまった。つまずいたのではなかった。ツカマレタのだ。普通の手に。
「うあぁあ!!な、何だこれ!!」
その手に次第に力が込められていく。
陰が再び狂ったかのように笑い出した。笑いすぎたのか、何かを口から吐き出していた。しかし、笑いは止まらなかった。
智紀は痛みに耐えながらもリュックサックに手を突っ込んだ。確かこの中には・・・。
智紀は、何か光るものをリュックサックから取り出し、見えないようなスピードで、地面から生えて自分の足をつかんでいる普通の手を突き刺した。ナイフである。自分の足にも貫通したがこらえた。それでも、あまりの痛みに涙がジンワリ出てきた。
老人は本気で顔をしかめ、苦しみだした。陰も笑うのをやめ、苦しみだした。
「キ、キサマ!!ヨクモ!!!アァ゛ア゛ーーー!!!」
老人の無いはずの手が突然現れ、血を噴出した。それは、赤い花が咲いているようにも見えた。
智紀は、荒い息をしながらも口を開けたままにしてしまった。そして、逃げるチャンスは今しかないと思い、片足を引きずりながらも走った。そのスピードは亀が歩くスピードの約3倍ほどだったが、老人には速すぎていた。追いつかなかった。陰も手から血が噴出し、白目になってありえないほどに叫んでいた。
智紀は、恐怖というものを感じながらも、墓場の出入り口が見えてきたので、そこから外へ脱出した。
墓場の外へ出ると、周りが暗い夜なはずなのに、太陽が智紀を照らして、明るかった。そう自分は助かったのだ。そして、智紀は安心したのか、その場に倒れこみ、意識を失った。
陰は、老人を智紀が置いていったナイフで刺して刺して刺しまくっていた。老人はもがき苦しみ、地面の下へ引きずりこまれていった。すると、陰の血液が陰の体内に戻り、陰は完全に回復した。
「智紀、ユルサナイ。」
陰は―――――頑太に似ていた・・・。
やっと、ヤミノゲームが終わりました。