プロローグ
ここは自宅だ。家にはだれもいない。母は、友達の誘いで、泊まりに行っており、父は、会社だからだ。亮は、ベットの上で高校での出来事を思い出す。
「亮!ちょっと。」
「なんだ?」
出口頑太が手招きする。それに、亮は反応して、頑太のほうへ歩む。
頑太の手には、二本のビデオテープがあった。それに、視線がいく。
「これなんだけどさぁ、ちょっとおかしいのが、映っているらしいんだよ。」
「へぇ〜、で?」
「俺一人じゃ、見るの怖いから、今日の帰りおまえんちで一緒に見ようぜ。」
「それは、何?」
「ひとつはヤミノゲームっていうやつで、もうひとつはヒカリノゲームってやつの実際にあったのを映したものなんだってさ。」
「へえ」
「だから、みよーぜ?な?」
頑太の性格からして一人でホラー系のビデオを見るのはおそらく無理だろう。だから、亮に一緒に見ようと言ってきたのだ。
「わかった。すぐこいよ。」
「りょーかい。」
それから、すぐに3時限目の始まるチャイムが流れてきた。
あわてて、自分の席に座る。ここは、私立の高校だ。かなり厳しい。なので、少しでも問題を起こすと即、停学である。
3時限目は歴史だった。それも世界史で、亮の一番嫌いな分野だ。
しかし、頑太は得意だ。まあ、亮自身、自称理系なので、世界史が苦手でも、別にいい。世界史の時間はとても長い。実際は、他と時間は変わらないのだが、長く感じられる。亮は早く終わらないかと考えている。ただひたすら、黒板の文字を移す作業が繰り返される。
それ自体、すると頭が痛くなることもある。ある意味、地獄だ。
その地獄から、抜け出せるのは、授業が終わる瞬間、つまり、チャイムが鳴る瞬間だ。
今日もそのチャイムのおかげで、解放された。
キーンコーンカーンコーン・・・
頭に何度もこだまする。
あぁ、おわった。
次の時間は、化学でそのあと、昼食を取り、体育が2時間続いて学校が1日分終わる。亮は世界史以外は、すべて得意分野と言ってもいいくらいできる。
化学が始まった。教師が面白いことをいう。亮はふふふと笑った。
キーンコーンカーンコーン・・・
やっと終わった。部活はやっていないので、そのまま家に直行だ。
あのビデオを見ることが、楽しみだ。亮は自転車にまたぎ、坂道を駆け抜けた。
亮は思い返すのをやめ、ベットから降りた。
そろそろ頑太が来るころだ。
ピーンポーン
ほら来た。
亮は、玄関に向かった。頑太はなんだか不気味な笑顔で中に入ってきた。それに一種の不安を覚えたが別に気にしなかった。