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あやかし吉原 ~幽霊花魁~  作者: 菱沼あゆ
エピローグ

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最初の辻斬り


 最初の辻斬りは福だったのだ。


 周五郎が持ち帰った指を咲夜からの本物の愛の証と勘違いした福は、別の小指とすり替えようとして、たまたま目についた女に斬りつけたのだろう。


 そんな福に気づき、斬りつける位置を指から遠ざけながら犯行を繰り返し、すべてを辻斬りの仕業にしようとしたのは、長太郎だったのか、それとも、愛人である手代だったのか。


 いや、長太郎が福を見つけたときには、辻斬りはもう始まっていた。

 では、手代の仕業か。


 しかし、商家の手代にあんなことが出来るとは思えない。

 恐らく、金でプロを雇っていたのだろう。


 だから、自分と辻斬りが斬り合ったことで、これ幸いと、人を襲うのをやめさせたのだ。


 手代はおそらく、福に懇願したに違いない。


 周五郎が持つ咲夜の指を偽物とすり替え、事件も辻斬りが起こしたものとして誤魔化すから、もうなにもしないでくれと。


 気持ちの持って行き場がなくなった福は、あれほど嫌っていた吉原にまで現れ、咲夜と夫、周五郎を探して扇花屋を彷徨さまよっていたのではないか。


 そして、そこを長太郎に見つかった。


 千束の通り魔は自分を斬ろうとしてやめた、と明野は電話で言っていた。


 振り上げた小刀を持ち替えてまで、刺そうとしたのに。


 愛する夫に腹部を刺された自分と同じ目に遭わせるつもりだったはずだ。


 腕を斬るだけだった通り魔が、自分が刺されたのと同じ遣り方で、明野を刺そうとしたのは、明野を咲夜だと思ったからに違いない。


 だが、直前で、通り魔は深く刺すのをやめた。

 明野が咲夜ではないと気づいたからだ。


 顔の辺りを見ていたと明野は言った。


 顔を見て、ではないようだった。


 明野の感覚を信じるなら、そこに何か別の理由があるはずだ。


 明野が咲夜ではないと気づいた理由が。


『やめたのよ。

 なんだか落ち着かなくて』


 また来るように言われたんだけど、という咲夜の言葉を思い出していた――。





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