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あやかし吉原 ~幽霊花魁~  作者: 菱沼あゆ
第一章 幽霊花魁
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新吉原の朝

 


 新吉原も眠る明け方近く。

 部屋から出て、階段を下りると、なにかが私の足を掴んできた。


 すでに死んでいる遊女だ。


「……まだいたの?」


 私がその女の霊に話しかけると、何処からともなく笑い声が聞こえてきた。


 死んでなお気の狂っている女が着物を引きずり、正面にある張見世部屋の前をよぎっていく。


 うっかり視線を合わせてしまった。


 こちらに気づいた女は、

「あんた、何処の子だい? 此処はいいところだよ」

 そう言い、ゲラゲラと笑いながら行ってしまった。


「……いいところなら、貴女みたいな霊が出るはずないじゃない」


 そう呟き、私は階段を振り返った。


 息を吸って、目を閉じた。


 そこに現れる残像を見まいとするように――。




 名前ヲ――


  名前ヲ 呼ンデ


  ソレハ 魂ヲ 縛ルカラ






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