ヒャッハー‼︎ 血祭りだぜ!
ナルは峡谷の底で大の字で仰向けに倒れていた。原因はすべてミカンにある。他の峡谷の底に行く方法が無かったからといって、突き落とす必要があったのだろうか?ナルは強く思った。優しく押してくれれば、いいではないか。なぜ彼女は蹴り飛ばしたのか?疑問である。
それから数秒後ミカンが上から降ってきた。正確には飛んでき、綺麗に高所から着地した。片手と片膝を地面をつけ、空いている方の手を大きく伸ばす。かっこいいヒーローポーズの完成である。
「やったわ‼︎ ヒーロー着地、成功よ。」
「さっきからやっている事は全然ヒーローらしくないけどな!」
声はミカンの下から聞こえてきた。ミカンの着地したところにナルはいて、下敷きとなっていた。ミカンは慌てて退き、謝罪した。
「ねぇ、ナル君!私達ってまるで漫才師みたいに息ピッタリじゃない。私とコンビ組んで、漫才界で活躍してみない?」
「寺岡と漫才コンビなんて、嫌だよ!それにオレ達なんか漫才界に出ても上◯恵美恵美チョップッ、を喰らって一発退場だよ。」
「そうかなあ〜、良いところまでいけると思うんだけどなぁ。 ほら、今だってこんなにも多くのお客さんがいるんだよ。」
ミカンの「お客さん」という言葉に違和感を覚えたナルは周りを見渡す。すると、推定100体のモンスターが2人を囲っていた。
これはお客さんじゃない、モンスターだぁー‼︎‼︎
焦りを見せながらナルが伝えると、ミカンは地面を見ながら、わなわなと震え始めました。無理もない。
ミカンは少し変わっている所があるが、女の子である事に変わりはなく、これが幾ら勉強であったとしても
モンスター100体に囲まれている状態に恐怖心を抱かないはずはない。
そのようにナルがミカンに同情していると、ミカンは顔を上げ口を開いた。
「ヒャッハァァーー‼︎1匹残らず血祭りだゼェェー‼︎」
そう言うと、ミカンは剣を抜き、モンスター達の群れに突っ込んでいった。
ナルは声を大にして言った。
「ヒロインの言うセリフじゃえぇェェェーッ!」