6-流行らせコラ!お願い、ポイントが足りないの!
投稿しても、投稿しても一向に評価されない作者の処女作。
深く、身動きの取れない『0ptの沼』に沈んでしまった作者。泥は首元にまで達していて、窒息するのを待つのみといった状態です。
すっかり自信とやる気を失ってしまった作者ですが、気づけばまだやり忘れていたことが。小説執筆という無謀な企画を共に立ち上げた、ネット上の同士に報告をしていなかったのです。
「そういえば『なろう小説』はどうなったべ?」
「投稿したゾ」
「見せて!見せて! URL貼って」
「いいけど。糞つまんないゴミ作品だから、期待すんなよ」
自分の作品をゴミと称してしまうあたり、完全にメンタルがやられてますね。
でも、作品の良し悪しを計る基準として最も分かりやすいのがポイントである「なろう」ですよ。ゼロポイントから脱せずにいたら、自信作でも駄作だと思わざる得ないじゃないですか。
「ゴミ作品ってwww どれくらいポイントはいったンゴ?」
「えっ?(難聴)」
「何とぼけてるんだよ?」
「0ptだけど(小声)」
「だっさwww うん、ゴミ作品に違いないなwww」
「ほならね(以下略)」
それから数日後。どんな酷評が飛んでくるのかと草を生やしながら、同士に感想を聞いてみると。
「おもしろいじゃん。想像以上に真面目にやっててワロタ」
うーん。想像以上に真面目、これって誉め言葉なんでしょうか。もしかしたら、同士は一発ネタの短編を想定していたのかもしれません。もしくは、もっとふざけた内容を想像していたのか。
「これ普通にいいじゃん。少なくともアニメ放送中の○○○○○(なろう大御所作品)より面白いぞ」
まぁ、さすがにこれは言い過ぎでしょう。ランキングに入る作品、メディアミックスされる作品は面白いから、そこまで登り詰めてるんです。0ptの作品と比較したら失礼です。
同士が書いているという補正がポジティブな方向に働いていたんでしょう。
「文章硬すぎだろ。読み難いからもっと軽い感じにしろ」
これは作者も実感していました。
作者としては自作をライトノベルと称していたんですが、そもそもお前ライトノベル読まないじゃんという話です。まともに読書をしてこなかった代償ですね。
「続きが気になる。早く書け」
そんなこんなで、批評の嵐になるのかと身構えていましたが、企画を共に考えた同士からは意外と高評価を貰えました。なら、その評価はちゃんと数字で還元してほしいところ。
「お前らポイント入れてくれよ~ 頼むよ~」
「嫌だよ(直球)」
「はぁ?(威圧)」
「アカウント持ってないし」
「悲しいなぁ」
うん、わかってた。こいつら、口先だけの連中だって。
もっとも、ポイントを入れる様に依頼する行為はお勧めしません。日間ランキングを身を挺して本気で狙う人以外は、手を出さない方が後々面倒が少ないでしょう。
結局0ptの沼から抜け出す目途は立たず。
止めておけばいいのに、続きが気になるという意見も貰ったので、もう少し頑張って続きを書いてみることに。
でも、この頃は誰かが埋没した作者の作品を見つけ出してくれると期待していたんですね。埋もれてる良作を見つけ出す、いわゆるスコップですね。しかし残念ながら、スコップ職人が掘り当てようとしているのはあくまで良質な作品であり、粗悪な作品には見向きもしないでしょう。