やっぱり自分の部屋が一番
自分の家の自室に戻って、やっと空気が吸えたような気がした。
あの家は全体がやたら豪華だから、トイレに行くのも緊張してしまった。
ベッドに思いっきりダイブして、一気に息を吐く。
「生きた心地がするってこのことを言うんだなー」
ハッキリ言うと、あの家に行ったところから夢なんじゃないかと思った。
あんな豪華な家を見たのは初めてだし、そこで話したことは魔女とか異世界とか、ファンタジーな話だったし。
「それに、まさか天使も魔女だったなんてなー。
記憶消すとか言ってたから、薄々勘づいていたけど。
後、鈴木先生も仲間らしいし。
あれ? でも和田さんは気を付けろって言ってたな。仲間なのに?」
彼女の話が終わり家に帰ろうとすると、彼女に引き留められて言われたのだ。
『小林 あかりと鈴木には気を付けて。特に鈴木とは二人きりになっちゃダメ』
あれはどういう意味だったんだろう?
まあ、いっか。
机の上のスケッチブックを手に取って、ベッドに座り、絵を描き始める。
今日は豪華な寝室と和田さんだ。
まずは一番大きなベッドから描き始めて、次に和田さん。
さらに装飾品を描いていって……。
「あれ? なんかおかしい?」
少し違和感を感じて、動かしていた手を止める。
描いている途中のスケッチブックを持ち、腕を伸ばして遠くから見る。
「やっぱり少し違和感があるなー。あまりこんな豪華な部屋は描かないからかな?」
目を細めてもどこがどうおかしいのか分からなかった。
僕はスケッチブックを閉じて机に置く。
そして、身体の力を抜き、ベッドに倒れ込んだ。
「疲れた。頭を使いすぎたよ」
起きたら夢でした。とかならないかな?
僕は訪れる眠気に身を任せる。