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異世界の魔女の探しモノ ーmemoryー  作者: 夜虎
1週間が経ちました
10/37

天使って誰? 和田さんって誰?

「あー、もう僕は立ち直れないよー」


ショックだった。

高校の校門で一目惚れをした天使。

自己紹介や普段の生活を今まで見てきて、僕の理想の女性そのものだった。

けど、その素は全然違っていた。

ある意味、僕はちゃんと天使の事を見ていなかったんだろう。

だから、天使が自分の理想と違ってショックを受けるなんて、天使に失礼だ。

けれど……。


「夢にまで見た理想の女性だったのになー」


自分の理想そのものだったから、余計に期待してしまった。

その分、受けた衝撃は大きい。

僕は一つ決意をする。


「よし! 今日のことは忘れよう!

きっとあそこにいたのは天使じゃなかったんだ!

天使のそっくりさんか、実は天使に姉妹がいたとか……。

そう思おうっと。

今日はもう寝る! そして忘れる!」


天使の事を頭から追いやると自然と思い浮かぶのは、図書室で出会った和田さんだ。

彼女が図書室で最後に言った言葉。


『私は和田 氷華。クラスは3組』


彼女は3組だと言っていた。

僕も3組だから、彼女は僕のクラスメートのはずだ。

だけど、僕の記憶に和田 氷華という名前の女子生徒はいない。

僕は記憶力に絶対的自信がある。


なぜなら、今までの記憶を一切忘れたことがないからだ。

興味本位で調べた円周率は、サイトに載っているものは完全に覚えているし、テストの前は全教科の教科書を丸暗記なんて毎回している。

もちろん、今も覚えてるから、やろうと思えば中学1年生の教科書の内容を、最初から順番に紙に写すことだってできる。


「なのになー。なんで和田さんを覚えてないんだ?

1番秋田、2番池本、3番石田……んで、最後が僕」


念のため、指を折りながら出席番号順に名前を思い出していく。

やっぱりどこにも和田なんて苗字はない。


「あっ、苗字が和田なんだから僕よりも後じゃん! 順番に言った意味……」


そして僕は気付いたことが一つだけある。

僕の席の後ろには、誰も座らない空席がある。

もしかして、その席が彼女の席……?


僕はずっとあまりの席で、先生は除けるのがめんどうだから放置しているのかと思った。

けど、もしそこが彼女の席なのだとしたら?

彼女が一回も教室に来た事がなかったら?


「だったら、僕が忘れてたわけじゃないじゃん」


でも、なぜ先生は彼女の事を言わないんだろう。

ここ1週間先生の口から和田 氷華の名前を聞いたことがない。

でも放課後、廊下で天使や彼女と話していた。

彼女が教室に来ていない理由が何であれ、ホームルームの時にでも彼女の欠席、あるいは遅刻を伝えるはずだ。


「あー! 考えても分からない! 今度こそ寝る!」

「真斗うるさい! もう遅いんだから寝なさい! 明日も学校でしょ!」

「はーい」


母さんの声もなかなかに大きいと思うんだけど……。

という言葉は心の中に留めておく。


僕は自分のベッドに入り、布団を深く被る。



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