掃除
遅くなりました。
「地球には人間が増えすぎた。ここらで一度整理すべきだとは思わないか、諸君」
「賛成だ、議長。不必要な人間が多すぎる」
「では、人口削減プロジェクトを始めようか」
次の日、全世界は驚愕の渦に飲み込まれた。
「我々、国連は人口の増加と、それに伴う問題の解消を目指し、人口削減プロジェクトを立ち上げた。不必要な人間と、必要な人間に選別し、前者はこの世界に存在する必要がないとみなし、処分する」
この時点ではこんな計画、誰もが信じてはいなかった。
しかし数日後、具体的な方法が発表された。
「選ばれた人間は最新鋭の核シェルターに避難、そして不必要な人間は戦略級兵器によって完全に殲滅する」
「選ばれた人間の元には葉書が送られる。葉書を持って各国の核シェルターに行けば、入れてくれるだろう」
当然、送られてきた葉書を殺して奪うやつ、金で買い占めるやつ、多くの不正が行われたが、それに対する制裁は一切なかった。
ーー
執行の日、ある核シェルターの内部。科学者、政治家、マフィア、会社の幹部、たくさんの職業の人間が集まっていた。誰もが選ばれた者たちだ。
この頃になると残された人間達は重大さに気づき、核シェルターの前に集まり、抗議をした者もいたが相手にはされなかった。
国連内部にある地下の核シェルターでは今回のプロジェクトの責任者たちが緊張の面持ちでモニターを眺めていた。モニターは各地の核シェルターを映し出している。
一人の男がボタンに手を伸ばす。
「これより、地球の掃除を行う!」
男は強く押し込んだ。
その瞬間、モニターに映っていた多くの人間の姿は、炎によってかき消された。やがてそれも消え、残ったのは音も画像も映し出さないモニターと、満足げな数人の男たちだけだった。一人が口を開いた。
「では、外の人間に伝えに行こうか。地球に存在する人間のクズどもの掃除が終わったことを」
ーー
のちに人々は気づくのであった。
彼らは
「選ばれた人間が、核シェルターに入る」
とは言ったが、
「必要な人間が核シェルターに入る」
とは言っていない事に……
いやほんと寒いですね。今日は雪も降っていました。これでスキー場の雪が増えてくれることを祈ります。
感想、アドバイスお願いします。