宝くじ
遅くなりました。
あけましておめでとうございます。
俺は詐欺師だ。人を騙し、金を得る。とてもじゃないが、褒められた職業じゃあない。でも、スリルがたまらないんだ。騙し合いのな。ほら、また鴨がネギ背負ってやってきた。
「失礼ですが、何かお困りですか?」
ちょうど目の前にやってきた男に声をかけた。いかにも気弱そうな顔をしている。
「困っている……そうだな」
「でしたら、私がその悩み、解決致しましょう」
「本当か?」
ほら食いついた。ちょろいもんだ。
「ええ。どうぞ、お話しください」
「その……つい最近のことだが、実は宝くじが当たってしまってな。使い道に困っているんだ」
こいつは驚いた。
「そんなことが……それは大変ですね。銀行に預けるのは如何ですか?」
「それは不安だ」
「そうですね。こんなご時世ですから。では、私が安心して預けられるところを紹介致しましょうか?」
「それはありがたい。是非そうしてくれ」
「わかりました。つきましてはそのお金をどこで受け渡すかということですが……」
「それなら心配ない。今は一時的に銀行の貸金庫に入れているからな。ただ、それを解約すると解約金がかかってしまうんだが……」
「それくらいのお金はこちらで負担いたしましょう」
宝くじが丸々手に入るんだ。それくらいの出費痛くもかゆくもない。財布から一万円札を数枚抜き取ると、男に渡した。
「ありがとう。これが貸金庫の鍵だ。よろしく頼むよ」
「かしこまりました。ご安心ください。全て終わってから連絡いたしますよ」
俺はそう言って席を立った。
これで俺も大金持ちだ。早速銀行に行くと貸金庫の鍵を渡し、中身を受け取る。
ーー
数分後、手の中で転がる三百円を見つめて、俺はため息をついた。これもまた、詐欺師の人生というわけか。
今年もよろしくお願いします。
感想、アドバイスお願いします。