表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2015年/短編まとめ

『かわいい』って何ですか

作者: 文崎 美生

『かわいい』って言葉には、色々な要素が詰まっている。

容姿、行動、言動、雰囲気、仕草、後は何だろう。

兎に角『かわいい』というのは、恋愛的な感情に、イコールとして結びつくわけではないのだ。


簡単に結び付きはしないけれど、確実に好印象には繋がるわけで、私にはその要素が損失していた。

なので、それは喉から手が出るほどに欲しいもの。


ただ『かわいい』なんて表現は、ひどく曖昧で定義もそのボーダーラインも分からない。

その基準を教えてくれ、と言いたいところだが、多分誰も分からないし、人それぞれと答えるだろう。


「ねぇ」


目の前の男の顔を覗き込む。

飽きもせずに、先月行われた練習試合のスコアを見ている男は、のんびりと顔を上げた。

そのスコアに向けていた真剣な目は、一体どこへ、と思うほどに眠そうな目だ。


「何?」


「どういう子が可愛いと思う?」


軽く首を傾けながら問えば、彼は一瞬口を噤む。

眠そうだった目が、教室の天井に向けられて「お前って言えばいいの?」と、苦笑混じりに言い出す。

有難いけど、そう言う事じゃない旨を伝えれば、彼はぽりぽりと頭を掻く。


それからのんびりと私達がいる場所――廊下側一番後ろの席の、一直線上の隅っこを指差した。

私はそちらに視線を向ける。

そうして、そこにいる人物を認識して、あぁ、と納得してしまう。


分かってるなぁ、と心の中で呟いた。

その子は勿論顔も可愛いが、性格も可愛らしい、俗に言ういい子だろう。

そんなに関わったことはないけれど、何となくそんな気がする。

そう、正にああいう子が男女共通であろう『かわいい』なのだ。


私があの子になるためには、先ずはどうしたらいいのだろうか。

何が足りなくて、何が足りているのだろう。

ジッ、と彼女を見つめる私に「お前はお前だよ」と彼が囁いた。


望みは希薄、そんなの分かってるけど足掻かせてよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ