CLIMB DESIRE Ⅰ
かつて、この世界にはいくつものデスゲームがあった。『ブレイブファンタジー2』『エクステンドVR』 『ブレイブファンタジー3』。これら以外にも数多くのデスゲームが世に存在しており、今や人々はそれを一種の娯楽として捉えている。
参加した回数を自慢する者、 新たに主催する者、多くの人々がデスゲームというイベントに憧れを持ち、そして受け入れてきた。しかし、実のところ、彼らはデスゲームを知っているとは言えない。
ブレイブファンタジー2はデスゲームが開始して2時間で"終結"し、死者はでなかった。
エクステンドVRはデスゲーム推進委員会を仕留めるための"罠"であり、死者はでなかった。
ブレイブファンタジー3はそもそも"ごっこ遊び"の類であり、死者が出るわけがない。
世に存在するほぼ全ての"自称"デスゲームは実際のところ、一人たりとも犠牲者を生み出していない。
たとえ本当にデスゲームであったとしても、何重にも強固な対策と管理が施された現代の社会においてはいとも容易く鎮圧されてしまうであろう。
最早、デスゲームに参加することによる危険性など存在しない。そもそもこんなものをデスゲームと呼んでいいのだろうか?
そう、この世界において、"本当のデスゲーム"であったのは一つだけ。
それに比べたら全てのVRMMOは児戯に等しい。
全ての始まりであり、至高であり、究極であり、そして、世界で唯一、"死者を生み出した"VRMMO。
『クロスブレイドVR』
命を賭して世界を駆け抜ける快感。
やり直しなど存在しない、スリルと血飛沫に溢れた闘争。
背中を預けられる者などいない、疑心と暴力に満ちた世界!
あの血塗られた栄光の日々を、忘れることなど出来やしない。
私たちは待ち続ける。
真の世界の幕開けを。
私たちは待ち続ける。
真の人生の始まりを。




