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【VR】ブレイブファンタジー【神ゲー確実】  作者: hikoyuki
番外編

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てーぶるとーかーず!

「みなさん、こんにちは!きゅーてくちゃんねるの卍荒罹崇(ありす)卍です!」


 元気よく視聴者さんに挨拶をすると、雪崩のようにコメントが降ってくる。


----

>チャンネル登録外しました(挨拶)


>フォッダーから逃げるな


>荒罹崇←これなんて読むの??


>↑こうらすうだよ


>こうらすうさんマジこうらすうさん

----


「誰が『こうらすう』ですか!ちゃんと覚えてくださいね。荒罹崇(ありす)ですよ!」


 いつものように配信を通じて視聴者さんとの殴り合いが始まるが、それどころでは無いと強引に話を戻す。


「今回はいつもの定時配信ではありませんが、ちょっと諸事情で配信させて頂いています。なぜかと言うと——」


 ボクは一区切りの間を設けてから、続きを口にする。


「ボクは今、デスゲームに巻き込まれています」


----

>知ってた


>まーたデスゲームか


>親の顔より見たデスゲーム


>↑もっと親のデスゲーム見て

----


「ちょっと!デスゲームに巻き込まれたんですよ!もっとシリアスなコメントをしてください!」


 確かにボクがデスゲームに巻き込まれるのはこれで121回目だが、人の命が掛かっているのだ。もっと親身になってコメントをして貰いたいものである。


 とは言えさすがに心無い視聴者ばかりでは無い。『今度はどんな馬鹿みたいなクソゲーなの?』とゲームの詳細を真面目に聞いてくれる心優しい視聴者もいた。ボクはゴミみたいなコメントを相手にせず、質問に答える。


「えっと、事前に得た情報によるとですね。『クトゥルフ神話TRPG』を題材にしたゲームのようです。探索者としてシナリオをクリアすれば良いんですって」


 そう言ってボクは視界に映るウィンドウを視聴者に見せる。どうやらゲーム内におけるボクのステータスや背景情報が示されているようで、追跡:80 隠密:80 鍵開け:90のように基本的な探索に必要な技能が割り振られている。これらのステータスはキャラメイク時にボクが設定したデータだ。


「えっと今は学校の帰り道という設定のようですね。自宅への道筋が矢印で示されているので、帰ってみましょうか。とことこ」


----

>こうらすうさんのステータス、明らかに犯罪特化で草


>隠密:80で鍵開け:90の学生ってなんやねん


>碌な学生じゃねーぞコイツ

----


「失礼ですね、至って普通の学生じゃないですか。しかも美少女なんです。APP(外見)が22もあるんですよ」


 そんな説明をしながら歩いていると、曲がり角から人が歩いてきた。


「おや、初めてのNPCですね。挨拶しておきましょう。こんにち——」


「ぐぎゃあぁぁあああッ!!美しすぎるゥ!!!」


----

>草


>発狂してて草


>神話生物扱いされてて草


>こいつわかってないな。卍さんはびゅーてぃじゃ無くてきゅーとだぞ


>APP22は化物クラスの美貌だからね仕方ないね

----


 初めて遭遇したNPCはその場にうつ伏せで倒れ込み、動かなくなってしまった。


「ど、どうしよう。重要NPCとかじゃ無いですよね?」


 ちょっと通りがかっただけのキャラクターなので賑やかしの可能性もあるが、シナリオを破壊してしまっていないか心配だ。


「大丈夫ですか?生きてます?」


 倒れ込んだ人にそう問いかけると——。


「声が美しすぎるゥゥゥ!!!」


「とりあえず生きているようですね。置いていきましょう」


----

>これ半分神話生物だろ


>全部神話生物だぞ


>最悪すぎて草

----


 相変わらず行き先を示す矢印は表示され続けているので、問題は無いだろう。


「ここからは念の為、隠密しながら帰る事にしますか。また通りすがりの人を発狂させてしまうと不味いですし」


『卍荒罹崇卍が隠密を発動——APPが「18」を上回っている為、技能値を-40して判定を行います』


「なんで???」


----

>クソみたいな欠陥ビルド


>キャラメイク失敗してて草


>そりゃ目視しただけで発狂しててぶっ倒れるような見た目の奴が隠密なんて出来るはずがないんだよなぁ

----


 アナウンスの声と共に、ボクの目の前に100面ダイスが出現した。『クトゥルフ神話TRPG』ではこの球体みたいなダイスを使って判定を行うのだ。


 ボクの現在の隠密は80-40=40なので、40以下が出れば成功となる。今回のセッションでは1〜5が出ると通常の成功よりも良い結果になり、96〜100は大失敗となるようだ。


「よし、転がしてみますか」


 ボクはダイスを掴むと道端に転がしてみる。するところころと転がっていったダイスは止まらぬ勢いのまま側溝に落ちた。


----

>草


>やっぱ100面ダイスってゴミだわ


>道端でサイコロを振らせるな定期

----


 どうやら判定が行われなかった扱いになったらしく、改めてボクの眼の前にダイスが出現する。


「よ、よーし。今度はそっと転がしてみましょう。ころころーっと」


 ボクの想定通り、ダイスは少しの回転を経てから停止する。さて、判定値は……?


『判定値:100 結果:致命的失敗(ファンブル)


----

>草


>さすが卍さん


>こんな配信見てると運が悪くなりそう


>チャンネル登録外しました

-----


「ここで致命的失敗(ファンブル)!?だ、大丈夫ですよね?転んで1ダメージとかですか?」


『卍荒罹崇卍は隠密の技能を致命的に失敗した。ただの失敗ではない。致命的な失敗だ。それでは隠密における致命的な失敗とは何か?答えは簡単だ。とんでもなく目立つのである』


「おい、あそこにとんでもない絶世の美少女が……ぐぎゃあぁぁあああ!!!」


「マジかよ!見に行かなければ……ぐあぁぁああああ!!」


「ここで街角インタビュー!この辺りに絶世の美少女がいると言うことで取材を……きゃああぁあああ!!!」


----

>日本終わったな


>大事件に発展してて草


>神話生物の視点で役割を演じるクトゥルフ神話TRPGか。新しいな


>神話生物って目があっただけで発狂されるなんてかわいそうだよな……

----


「ちょ、ちょっと待ってください!ボクは悪くないですよね!?ね!?」


『お知らせ致します。当セッションにおける黒幕に相当するNPCが永久的狂気に陥り、シナリオの続行が不可能になりました。よって、シナリオは攻略されたと見做し、セッションを終了いたします』


----

>まーた卍さんがデスゲームを壊したのか……


>APPを22にしただけで壊れるゲームを作るな定期


>そもそもAPPを22に設定できるようにするな定期


>クソシナリオで草


>いや、これはプレイヤーが悪いだろ……

----


「いやいや、ボクは悪くない!無罪ですから!ゲームが勝手に壊れちゃうのがいけないんです!!!!」

『卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!』をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言]  ペロ、これは最新話に見せた宣伝!
[一言] 神話生物をテレビに映すのはマズイですよ……
[良い点] 更新乙い [一言] なにもしてないのにこわれた!!
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