表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

事実無職のジョブマスター④

 リュンクの森の初級妖怪、化猫に向けて初級魔術『フレア』を放った後、ツカサは琴花に向かって声を出す。

「琴花! 剣士!」

「了解ニャ」

 琴花の手招きと共にツカサのステータス、職業の欄が『術師』から『剣士』に書き換わる。

 同時に持っていた杖が消え、代わりに現れた剣をツカサは握りしめる。

 怯んでいる化猫の元に走り込み、勢いを止めずにツカサは回転する

「円牙!」

 宙を舞った化猫は小さく呻き声を上げて消え、代わりに通貨とアイテムが地面に落ちる。

「慣れてきたみたいだニャ」

 琴花がツカサの頭に手を置く。

「まあ……化猫は猫みたいなもんだしな」

「練習はこれくらいでいいニャ、どちらにしてもお前のHPをここらへんの妖怪が削りきれるわけがないニャ」

「そうだな……じゃあ陰陽師にしてくれ」

「なんでニャ?」

「リュンクに行くんだから陰陽師にならないと色々疑われるだろ」

「何か買い物かニャ?」

「え? いや、今日の宿でも探そうかと」

 ツカサの言葉に琴花は目を丸くする。

「宿って……村に泊まるのかニャ?」

「俺が陰陽師なら問題はないだろ? ……もしかして村の宿は妖怪禁止なのか?」

 琴花は何度も首を横に振った後、丸くした目を輝かせてツカサに詰め寄る。

「宿、行きたいニャ!」


 *


「ニャハハハ!」

 宿のベッドで飛び跳ねる琴花を見て、ツカサはため息をつく

「あんま騒ぐなよ……壊れるぞ」

「で、これからどうするのかニャ?」

「とりあえず村や町を巡ろうと思う。手探りだが……旅しかないだろう」

「ま、そうかニャー」

 琴花は飛び跳ねるのをやめ、猫のように座る。

「ここから近いのは……サバーカだニャ」

「ま、そうなるな。その次はベットだな」

 サバーカはゲーム上リュンクの次にある村だ。リュンクは猫の妖怪が多いがサバーカは犬の妖怪が多く生息している。

 ゲームではサバーカまでがチュートリアル。その次にあるのが大都市ベットになる。

「ベットは見た事がないニャ」

「ん……ああそうか」

 リュンクの森とサバーカの森は繋がっている。森の中は自由に移動できた琴花はサバーカまで行く事が出来たのだ。

「じゃあサバーカまでは案内を頼んでいいな」

「もちろんニャ」

 ゲームで慣れているとはいえ、実際に見るのでは全然違う。

「とりあえず……ベットを目指すか」

「了解ニャ」

 敬礼をしながら飛び跳ねた琴花の下で、ベッドが悲鳴をあげるように軋んだ。

「……まじで壊すなよ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ