事実無職のジョブマスター①
「この先が村だニャ」
琴花が指差した方向にはツカサにとって見覚えのある光景が広がっていた。
(リュンク……か)
琴花の案内で目前へと迫った村、リュンク。[Magic specter]のプレイヤーのスタート地点だ。
それにしても、とツカサは疑問に思う。何故この猫又は村に行きたいのか
ツカサは横目で琴花を見る。琴花は目をキラキラと輝かせながら村を見ている。
(……迷ってもしょうがないか)
「なあ、お前は何で村に行きたいんだ」
琴花は目を輝かせたまま答える
「人間に興味があるからだニャ」
「…………」
(まあ、いいか)
「とりあえずお前はニャー」
「そのお前ってのをやめろ」
琴花は少し考えてツカサの額に指を置いた。
ツカサの視界にステータス画面があらわれる。
「……なるほど、ツカサかニャ」
「そうすれば人のステータスを見れるのか」
ツカサの呟きに琴花は目を丸くする。
「当然……じゃないのかニャ ?」
「いや、まあ……」
ここがツカサにとって異世界である事は言わない方がいいのか……
寧ろ信じて貰う方が無理なのか
ツカサがそんなことを考えているとステータスを見ていた琴花は声を上げた
「職業が無いニャ!?」
「……変なのか?」
剣士とか魔術師とか[Magic specter]でいうプレイヤーばかりだというわけでも無いだろう。それとも全員がプレイヤー並みの力が……?
ツカサはその疑問を琴花にぶつけた。琴花は当然のように答える
「プレイヤーっていうのが傭兵って事ニャら、他の人の職業欄には平民とか貴族とかの階級が出るニャ」
それにしても、と琴花は真っ直ぐツカサを見た。
「お前、何者だニャ?」