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1.絶望

プロローグです

2041年3月21日


 怒号の飛び交う中、男は走っていた。


 それも自らが友人の連帯保証人になり、その友人に逃げられてしまったからなのだが。


 ハッ、ハッ、と犬のように息を切らし、路地裏をひたすら走る。途中にあったビール瓶のケースや段ボール、梯子などを薙ぎ倒し、簡易的なバリケードにする。


 狭い路地裏の通路を左、その次は右に。この男にとって路地裏は我が家の庭と言ってもよかった。




―撒いた、と男が思った瞬間。


「はーい、鬼ごっこしゅーりょー。」


 と、髪の毛を極彩色を染めたチンピラ風の男が言う。


「う、あッ」


 バリッ―――スタンガンを逃げる男に一撫で。


「はあ、あんたも大変だなあ。こんなに借金こさえて。痛みも無く死ねるんだから、まだ良い方だと俺は思うけどねー。」


 スタンガンで気絶した男を担ぎ上げながらチンピラ風の男が吐露する。その姿は仕事帰りのくたびれたサラリーマンのようでもあった。


「さて、そろそろ行こうか。佐藤和幸さん?」




 路地裏を出てすぐの所に止めてあった黒塗りのバンの後部座席に男を寝かせ、バンを夜の街へと走らせる。

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