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第一章 第八節 年明け


「かんぱーい!!」

 1941年12月31日、開戦してから初めて、そして大和がの人生でも初めての大晦日が訪れた。『大和』の会議室で艦魂の忘年会が行われている。

 酒を一気に飲み干すとまず長門が立ち上がって言った。

「それでは連合艦隊を代表しまして私から一言!」

 長門の言葉に数人が拍手をした。

「えー今年12月!日米間で大東亜戦争が開戦いたしました。現在すでに戦線は南方まで広がっています。すでに目標の南方資源の確保はほぼ達成しました。これからのあなたがたの奮闘を祈ります・・・とまあ、硬いのはここまでにしてこれからはどんどん盛り上がっていこー!!」

「おぉー!」

「みんな、じゃんじゃん飲め!!」

「おぉー!」

 みんなが一気に手に持った酒を飲んだ。

「ふう、やっぱり年末の酒は美味しいわね」

「それ・・・帰投した時に同じようなこと言ってましたよ」

「まあいいじゃない」

「あっ陽炎があたしの唐揚げとった!」

「いいじゃん別に!まだあるんだから」

 みんな思い思いに話しているがそんな中大和と照輝は部屋の真ん中にいた。

「少尉、唐揚げいりませんか?」

「ん?ああ、ありがとう大和」

 照輝は大和から唐揚げをひとつもらうとすぐに口へ運んだ。そこへ大和が心配そうに聞く。

「私が揚げたんですけど・・・おいしいですか?」

「うーん、ちょっと塩が濃いけどおいしいよ」

「本当ですか!?」

 照輝においしいと言われた大和はパッと明るく笑ってほかのところへ唐揚げを配りに行った。

「相変わらず大和は篠原くんと仲いいね」

 そう言ったのは照輝の横に座っていた長門である。

「まあ大和が艦魂じゃない人で初めて話したのは君だしね」

「え?ていうことは長門さんはほかに見える人とあったことがあるんですか?」

「ええ、あるわよ。昔私のところで働いてた人なんでけどね・・・まあ20隻に一人ぐらいはいるわよ」

「へえ、そうなんですか・・・ずいかくのところにもいるの?」

 照輝は向かい側、赤城の横に座っている少女に話しかけた。

「ふぇ?え、見える人ですか?」

 彼女は翔鶴型空母2番艦の艦魂、瑞鶴である。

「い、いません!いませんよ!」

 瑞鶴は顔を赤くして手をブンブン振りながら答えた。

「なーんか、怪しい」

「なんかあるって感じだよね」

 長門や日向の言葉に瑞鶴はさらに顔を赤くして言う。

「本当ですって!いませんよ」

「本当にぃ?実はもうできちゃってるんじゃないの?」

「ち、違います!梅村少尉とはそういう関係じゃ・・・」

 そこまで言って瑞鶴はハッとしてもっと顔を赤くした。

「やっぱり、いるんじゃない」

「・・・」

 瑞鶴は無言になるとパッと瞬間移動で消えてしまった。

「・・・・・・ちょっとやりすぎたかな?」

「かなりやりすぎですよ」

「まあ、明日になれば忘れるわよ。さあ篠原くんも飲みなさい!」

 そう言うと長門は照輝の方へ酒瓶を突き出した。

「僕、一応未成年なんですけど」

「大丈夫、大丈夫。バレないから」

「いや、本当に無理なんで」

 照輝が困っているとそこへ大和がやってきた。

「唐揚げ大盛況でしたよ。次はカレーでも作りましょうか」

「ん?ああ、カレーね」

「そういえばさ・・・」

「え?」

 急に長門が真面目そうな顔をして話し始めた。

「どうしたんですか?長門さん」

 長門は何も言わなかったがしばらくすると口を開いた。

「海軍のカレンダーってさ『月、月、火、水、木、金、金』じゃない」

「そうですね」

 海軍のカレンダーは休みなしで仕事をする、という意味でカレンダーには土、日曜日が書かれていない。長門はそのことを言っているのだろう。

「あれってさ・・・・・・カレー二日間食べられるよね」

「・・・・・・・」

「それだけですか?」

 照輝と大和が冷たい目で見ていると長門がまた口を開いた。

「あれ?受けると思ったんだけどな・・・」

 しばらく空気が冷たくなり三人は何も喋らなかった・・・が、しばらくして長門が焦って口を開いた。

「そうだ!1942年の年明けをカウントダウンしようよ」

「はぐらかした」

「はぐらかしましたね」

「いいじゃない、べつに」

 長門が言うとそれに対して照輝とやまとが言った。そこへ赤城がやってきて言った。

「いいね!やろうよ」

「そうと決まれば・・・霧島、今何時?」

 霧島は軍服から時計を取り出して時間を読んだ。

「えーと・・・0時3分です」

「え?」

「何日の?」

 長門が聞くと霧島が答える。

「1月1日です」

 無言

「あぁぁぁ!!忘年会が迎年会になってしまった!!」

「どうしよう!0時になったら誰よりも先におめでとうって言おうと思ってたのに!」

 長門と赤城が口々に叫ぶ。だが時計は虚しく回っていった。が、そこでいきなりドアがバン!と開かれた。その音に全員がドアの方を向いた。そこにいたのは・・・

「明けましておめでとう!!」

 扶桑だった。なぜか今日は浴衣を着ている。

「扶桑?・・・なんで浴衣(ゆかた)なの?」

「いや、正月と言ったら浴衣かなぁ?と思って」

「もしかして、浴衣着てて今までいなかったの?」

 長門が聞くと扶桑が答えた。

「そうなんですよ、なかなか着れなくって・・・」

 そう言うと扶桑は照輝の方へ歩いて行った。

「はい篠原くん」

 言うのと同時に扶桑は一つの封筒を照輝に渡した。

「なに?これ」

 そう言いながら照輝は封筒をあけた。そこには紙幣が入っていた。

「なんですかこれ?」

「お年玉」

「そうだ、私もあるんだった」

 扶桑の言葉のあとに長門も続いた

「はい、お年玉」

 長門も照輝に封筒を渡した。

「私もあげるね」

「私も」

 伊勢、日向とどんどんと渡されていった。

「あ、ありがとうございます」

 照輝の手の上にはいくつもの封筒が山積みになっている。

「みんな持ってきてるなら私も用意すればよかった・・・」

 大和がつぶやくがだれも気にしなかった。

「よーし、それじゃぁ第二部にいこー!」

「おぉー!」

 その後艦魂たちは酒を飲み、しゃべり、食べ続けた。

 そして数時間が立った。

「うぃ~篠原くんも・・・ヒック・・・飲もうよぉ」

「い、いや、僕は本当に飲めないんで・・・」

「いいじゃぁん、そんなこと言わないで」

 べろんべろんに酔った扶桑が照輝に酒を飲まそうとしていた。

「扶桑さん、少尉は未成年ですからお酒は・・・」

「いいじゃん大和ぉ・・・ヒック・・・あんたも飲みなよぉ」

「え?・・・ちょっと、いや、やあぁぁぁぁ・・・・・・ぐび・・・あふっ・・・」

 口に瓶を突っ込まれ一瓶すべて飲まされた大和はバッタリと倒れて眠ってしまった。

「大和、撃沈」

 山城が真顔でつぶやく。だが、一向に扶桑は落ち着かず今度は霧島の方へ歩いて行った。

「ふ、ふそうさん?・・・えっと・・・え・・・や、やあぁぁぁぁぁ・・・・・・」

「霧島轟沈」

「ちょ、ちょっと待ってよ・・・落ち着いて、いやっ・・・やあっ・・・・うひっ・・・」

「伊勢爆沈」

「誰か扶桑を抑えなさい!」

「はい!!」

 長門が叫ぶと後ろからセーラー服(すいへいふく)を着た少女が飛び出してきた。駆逐艦の艦魂である。

「あふっ」

「うっぷ・・・」

「ふにゃ」

 だが逆に艦魂たちはどんどんと酒を飲まされ床に倒れていった。

「戦力減少、損害不明」

「くっ・・・日向、陸奥、山城、行くわよ!」

「私はいるけど・・・陸奥はさっき大和を引きずってどこかに行きました」

「どこかって・・・まさか・・・いや、今はそれよりも扶桑を・・・」

 そのとき、窓から赤い光が差してきた。

「日の出だ!」

「新年初の朝日ですね」

「綺麗」

 窓の外には水平線から少しずつ太陽が登ってきていた。

「今年も頑張りましょう!」

「日本の未来のために!」

「今年もいい年になるといいね」

 朝日を見ながら口々に言った。だが朝日はその思いを裏切るかのように血の如く真っ赤であった。


 日本の、そして艦魂たちの未来を示しているかのように・・・




 本当にすみません。また更新が遅れてしまいました。話の構成で迷ってしまいました。とりあえず次かその次でドーリットル空襲あたりまで飛ぶと思います。(この間あまり出来事がないので)本当に不定期ですがこれからもよろしくお願いします

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