最終話:君が好きだと叫びたい
残り時間は1分を切っていた。幸いボールはうちのチームが持っている。しかし状況は楽観を許さなかった。
コーチが言った。「向こうは時間が少ないと見て、一寿へのマークを諦めた。代わりに5対4の数的有利で時間を稼ごうとしている。そろそろ奥の手を出すぞ。」
うちの一人の選手が、反対側のコーナーラインに走り込み、叫んだ。
「俺にパスをくれ!」
これでコーナーに張り付いている選手が二人になったが、どちらもノーマークという狀況に、相手がポカンとしている。
キャプテンはその半秒の隙を逃さなかった。彼は林一寿に目をやって、一寿が小さくうなずくのを確認して、ボールを持ってる選手にこう指示した。
「ゴミに回せ!」
会場中の誰もが「ゴミって誰?」と戸惑う中で、林一寿はボールを受け取っていた。ジャンプ。シュート。
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ボールは「ドンッ」という音を立ててリングにぶつかり、高く跳ね上がる。
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あの日、彼が跳んだとき、同じ「ドンッ」という音とともに、私を弾き飛ばした。
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ボールは重力に引かれてリングに戻り、縁をくるくると回ってる。入るのか、入らないのか。
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私は彼の腕力で引き寄せられ、彼の胸に収まった。勢いでその場で半回転した。私はそっと目を閉じた。キスしてくれるのか、くれないのか。
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ボールはついにリングに吸い込まれた。42対40。試合終了。私たちは―――やっと勝った。
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あの夜、彼は本当にその唇を私の唇に重ねて、キスをした。私はやっと彼を手に入れた。
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コートの真ん中で、林一寿が振り返って私を見た。彼は口の動きだけで「彼女」と言った。
会場中が彼に向かって歓声を上げている。でも私はその歓声がまったく聞こえなかった。聞こえたのは「彼女」という二文字だけだった。
林一寿はまず、さっきパスをくれた選手とハイタッチをした。それから私のところへ走ってきて、両手を私の肩に置いた。
「大好きです……嘘じゃないっす」
「バスケットは……お好きですか?」
「違う。僕は、君のことが好きだ。君が好きだと叫びたい!」
群衆の中から誰かの声がした。
「え? あの二人、前から付き合ってたんじゃないの? なんで今さら告白なんかしてるんだ?」
別の誰かが言う。
「毎日一緒にいるじゃん。もう誰が見ても付き合ってるって分かってたよ。」
そうか。
他の人の目には、私たちはずっと前から恋人同士に見えていたのか。
当事者は気づいていなかっただけで。
でも、そんなことはもうどうだっていい。
これから林一寿は私のものだ。他の女の子たちには絶対に近づけさせないように、私がしっかり守らなくちゃ。まず最初にやることは―――もう誰も「木村」というあだ名を使わせないことだ。
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かつて90年代の香港では、「中学生の恋愛は許されるべきか」という議論が盛んだった。
私の答えはこうだ。
相手が林一寿なら―――
絶対に、許されるべきだ。




