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最終話:君が好きだと叫びたい

残り時間は1分を切っていた。幸いボールはうちのチームが持っている。しかし状況は楽観を許さなかった。


コーチが言った。「向こうは時間が少ないと見て、一寿へのマークを諦めた。代わりに5対4の数的有利で時間を稼ごうとしている。そろそろ奥の手を出すぞ。」


うちの一人の選手が、反対側のコーナーラインに走り込み、叫んだ。


「俺にパスをくれ!」


これでコーナーに張り付いている選手が二人になったが、どちらもノーマークという狀況に、相手がポカンとしている。


キャプテンはその半秒の隙を逃さなかった。彼は林一寿に目をやって、一寿が小さくうなずくのを確認して、ボールを持ってる選手にこう指示した。


「ゴミに回せ!」


会場中の誰もが「ゴミって誰?」と戸惑う中で、林一寿はボールを受け取っていた。ジャンプ。シュート。


---

ボールは「ドンッ」という音を立ててリングにぶつかり、高く跳ね上がる。


***


あの日、彼が跳んだとき、同じ「ドンッ」という音とともに、私を弾き飛ばした。


***


ボールは重力に引かれてリングに戻り、縁をくるくると回ってる。入るのか、入らないのか。


***


私は彼の腕力で引き寄せられ、彼の胸に収まった。勢いでその場で半回転した。私はそっと目を閉じた。キスしてくれるのか、くれないのか。


***


ボールはついにリングに吸い込まれた。42対40。試合終了。私たちは―――やっと勝った。


***


あの夜、彼は本当にその唇を私の唇に重ねて、キスをした。私はやっと彼を手に入れた。


---


コートの真ん中で、林一寿が振り返って私を見た。彼は口の動きだけで「彼女」と言った。


会場中が彼に向かって歓声を上げている。でも私はその歓声がまったく聞こえなかった。聞こえたのは「彼女」という二文字だけだった。


林一寿はまず、さっきパスをくれた選手とハイタッチをした。それから私のところへ走ってきて、両手を私の肩に置いた。


「大好きです……嘘じゃないっす」


「バスケットは……お好きですか?」


「違う。僕は、君のことが好きだ。君が好きだと叫びたい!」


群衆の中から誰かの声がした。


「え? あの二人、前から付き合ってたんじゃないの? なんで今さら告白なんかしてるんだ?」


別の誰かが言う。


「毎日一緒にいるじゃん。もう誰が見ても付き合ってるって分かってたよ。」


そうか。


他の人の目には、私たちはずっと前から恋人同士に見えていたのか。


当事者は気づいていなかっただけで。


でも、そんなことはもうどうだっていい。


これから林一寿は私のものだ。他の女の子たちには絶対に近づけさせないように、私がしっかり守らなくちゃ。まず最初にやることは―――もう誰も「木村」というあだ名を使わせないことだ。


***


かつて90年代の香港では、「中学生の恋愛は許されるべきか」という議論が盛んだった。

私の答えはこうだ。

相手が林一寿なら―――

絶対に、許されるべきだ。

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