表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された没落令嬢は、娼館送りを避けるために死亡遊戯に参加します  作者: 七星鈴花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/10

第6話「再会」

 死亡遊戯が始まったのは、午後10時だった。

 最初の投票まで2時間。それまでに脱出口を見つけられれば、誰も死なずに済む。私の冊子には脱出口の場所が書いてある。地下の最深部だ。

 けれど、すぐにそこへ向かうわけにはいかなかった。

 私とユーリアだけが脱出口の場所を知っている。それを他の参加者に伝えれば、全員で脱出できるかもしれない。しかし、なぜ私がその情報を持っているのかを説明できない。

 それに、他の参加者の冊子には【ボーナスについて】の項目がある。人を殺せば金貨2000枚。メイドの年収の2000倍以上だ。その誘惑に負ける者がいないとは限らない。

 私とユーリアとドーラは、屋敷の1階を探索した。他の参加者たちもそれぞれ散らばり、屋敷の中を調べているようだった。


 30分ほどが経った頃、カティアが戻ってきた。


「おい、一度集まった方がいいんじゃないか」


 彼女の提案で、参加者たちが広間に集まり始めた。アンナ、ベルタ、ドーラ、フリーダ、ヒルダ、イルマ。そして私とユーリア。

 9人。1人足りない。


「エルザがいないわね」


 アンナが周囲を見回して言った。


「あの無愛想な女か。どこに行ったんだ」


 カティアが舌打ちした。


「さっき、2階の方に行くのを見ました」


 ベルタが小さな声で言った。


「呼びに行った方がいいんじゃないですか? 全員で協力しないと……」


 ドーラが不安そうに言った。彼女の冊子にも【ボーナスについて】が書いてあるはずだ。人を殺せば金貨2000枚。それでも、彼女は協力を口にしている。


「私が行くわ」


 気づけば、私は口を開いていた。


「セラさん?」


 ユーリアが私を見た。


「エルザさんを探してくる。皆はここで待っていて」

「私も行きましょうか」


 ユーリアが立ち上がりかけた。けれど、私は首を横に振った。


「大丈夫よ。すぐに戻るわ」


 本当は、1人で行きたかった。

 エルザ——マリアンネに、話があった。彼女が私を覚えているのかどうか。覚えているなら、何を思っているのか。それを確かめたかった。

 広間を出て、2階への階段を上る。

 冊子に書いてあった罠の場所を思い出す。2階中央の階段の5段目。ここではない。別の階段だ。

 2階の廊下は薄暗かった。等間隔に並ぶ燭台の炎が、壁に揺れる影を作っている。


「エルザさん」


 声をかけながら歩く。返事はない。

 廊下の奥、突き当たりの部屋の扉が少し開いていた。

 近づく。扉の隙間から中を覗く。

 書斎だった。本棚が壁一面を覆い、中央に大きな机がある。その窓際に、1人の女性が立っていた。

 赤みがかった茶色の髪。そばかすのある頬。マリアンネだ。

 彼女は、窓の外を見つめていた。月明かりが、その横顔を照らしている。


「エルザさん」


 私は扉を開けて、中に入った。

 彼女は、振り返らなかった。


「皆、下で待っているわ。一緒に行きましょう」

「……どうして」


 マリアンネが呟いた。


「どうして、あなたがここにいるんですか」


 彼女は、振り返った。その目には、驚きと、困惑と、そして何か別の感情が混じっていた。


「リーゼロッテお嬢様」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
マリアンネさんはやはり、リーゼロッテさんに気付いていたのですか……。 これからどうなるのかハラハラします。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ