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アヤナウチテ  ~妖討手~  作者: 野原 ヒロユキ
~金剛寺 羅道編~
20/21

分かれ道

柳たちはザコ妖魔を倒しながら、パトロポリスを奥へと進んだ。

「ん? これは……」

「どうした、奈雲?」

四人が走っていると、奈雲が何かに気づいた。

パトロポリス内の移動はもっぱら走りだ。

退魔師は普段から、走る訓練をしているため、この程度の移動は苦ではない。

「あちらから、何かを感じる。おそらく、このパトロポリスの動力炉だろう」

「どうするつもりだ?」

「私は動力炉の破壊に向かう。羅道を倒すのはおまえに任せる」

「わかった」

奈雲はそのまま飛行して、下のエリアに向かった。

柳たちの前に三つの道が現れた。

「三つ、道があるな」

「やれやれ、どこが本当の道なんだ?」

「困りましたね。舞葉さんがいればこういう霊感は得意なのでしょうけれど……」

三人は立ち止まってしまった。

柳はこのままじっとしているのは危険だと考えた。

ここは敵の牙城だ。

こんなところにいれば、大量の敵に包囲されかねない。

「クヒャハハハハハ! ヒントを教えてやろうか?」

そこにメットのような顔をしたサイボーグ妖魔が現れた。

「!? おまえはヴァイツ!?」

「ほう……よく知っているな。俺の名はヴァイツ。俺は羅道軍の将軍だ。この三つの道はどこも羅道のもとに通じている。どこを選んでも問題ない。ただ……」

「ただ?」

「一つの道に付き、おひとりさまだけだがなあ? ククク、さあ、どうする? どの道を選ぶかはおまえたちしだいだ。それじゃあな」

ヴァイツはそう言うと、空中を飛行して去っていった。

「どうする、柳?」

「……俺は真ん中の道に行く。幹斗と詩穂はどうする?」

「私は右の道を行きます」

「なら俺は左だな」

「よし……生きてまた再会しよう、またな!」

「ああ!」

「当然です!」

三人はそれぞれの道への進んでいった。



幹斗はひたすら直線的な道を進んでいった。

幹斗は大型のハチ型妖魔と会った。

「エアカッター」

風の刃がハチ型妖魔を切り刻む。

ハチ型妖魔は落下した。

「それにしても、蒸し暑いな。ここはいったい何なんだ?」

幹斗は突然、何か危険を感じ取った。

「危ない!」

幹斗がよけると、そこには大型のクモ型妖魔がいた。

「なんだ、こいつ!?」

そのクモは何とサイボーグ化されていた。

幹斗の勘が告げる。

わかる、こいつはボス妖魔だ。

「こいつはこのエリアのボスか! いいぜ! 相手になってやる!」

クモ型妖魔ボシュパイダー(Boschpeider)である。

ボシュパイダーは妖魔兵器と呼ばれるものの一種だった。

ボシュパイダーは上方の密林に消えた。

「あの野郎……また上から奇襲してくるつもりか」

幹斗は風の霊気を収束させる。

これによって不意の襲撃を避けることができる。

というより、幹斗にはそれしか対策がない。

密林で動きが生じた。

「来る!」

密林の中から小型のクモが落ちてきた。

おそらくこいつらは毒グモだ。

このクモたちもサイボーグ化されていた。

コグモたちは周囲に分散して幹斗を追いつめる。

「なめんな! ウインドスラッシャー!」

幹斗は風の刃をコグモに向けて放った。

コグモは切り裂かれる。

その瞬間上からボシュパイダーが落ちてきた。

「うおっ!?」

幹斗は前に跳び出した。

ボシュパイダーの牙が空を切る。

「こいつも毒持ちか!」

よく観察すると、ボシュパイダーにはビームウェブがついていた。

ボシュパイダーは不満そうに上へと消えていった。

「くそ……このまま上から一方的に攻撃されたら霊気が持たないぞ……」

幹斗は覚悟を決める。

「大いなる風の力よ! この俺につどえ!」

再びボシュパイダーが落ちてきた。

幹斗はその時、風を上方に向けて放った。

「トルネードサイクロン!」

ボシュパイダーは風でズタズタに切り刻まれた。

「ギシイイイイイイイイイイ!?」

ボシュパイダーは地面に落ちた。

そのまま動かなくなった。

「よっし! 俺の勝ちだ!」



詩穂は青いフロアを駆けた。

そこはまるで海のようだった。

突然詩穂にミサイルが撃ち込まれた。

詩穂は身をかがめてかわす。

「ほっほっほ! よくかわしましたねえ!」

「? あなたは?」

「私はオットパルド(Ottopardo)。見ての通りタコ型人型妖魔です。もちろん、羅道様によりサイボーグ化されていますが……」

「あなたはボス妖魔なのね?」

「ほっほっほ! その通り! 私がここにいる以上、これ以上先には進ませませんよ!」

オットパルドは八本の触手を持っていた。

「なら私はあなたを倒します!」

詩穂は霊弓を構えた。

これはこれから戦うという宣言だ。

「テンタクルミサイル!」

オットパルドは触手からミサイルを出した。

それは性格に詩穂を狙ってくる。

詩穂は霊矢ですべて撃ち落とした。

戦いは双方の射撃戦を呈してきた。

詩穂は霊気の矢で攻撃し、オットパルドはミサイル攻撃に徹する。

これでは消耗戦だ。

詩穂は危機感を持った。

これでは霊気を無駄に使ってしまう。

「ホーミングトーピドー!」

オットパルドは魚型のミサイルを撃ち出してきた。

これは湾曲しながら、詩穂に向かってくる。

詩穂は正確に向かってくる魚型ミサイルを軌道を予想して、撃ち落とした。

「ほほー! やりますね! ですが、二つのミサイルは同時に出せるのです! これで終わりですよ!」

オットパルドは詩穂にテンタクルミサイルとホーミングトーピドーを同時に出してきた。

詩穂は霊弓に霊気を集める。

これは詩穂の大技。

紅色の粒子が詩穂の弓に集まる。

「行きます! 梅閃ばいせん!」

「なっ、なんですと!?」

詩穂の技『梅閃』は二種類のミサイルをすべて吞み込み、オットパルドに直撃した。

「グアアアアアアアアアアアア!?」

「大霊矢!」

詩穂は極限まで収束した霊気の矢をオットパルドに放つ。

霊気の矢はオットパルドのボディーを貫いた。

「ガ、ガガガガガ……ま、まさか……この私が……」

オットパルドは爆発した。

「ふう……勝てましたね……」



柳は走っていた。

移動は基本的に走りだ。

このパトロポリスはおそらく中央に行くように道が作られている。

柳の前に雷の弾が撃ち込まれた。

そのぬしはヴァイツだった。

「クヒャハハハハハハハ! よく来たなあ!」

「おまえは、ヴァイツか。俺の道にどうしておまえがいる?」

「ヒャハハハハハハハ! 俺は通すとは言ったが、行かせるとは言っていないぞ?」

「……なるほどな。おまえは俺と戦いたかったのか」

「ヒャーッハッハッハッハッハ! その通りだぜ! うおりゃああああ!」

ヴァイツはビームスピアで柳に斬りかかってきた。

柳はそれを受け止める。

二人のあいだにスパークが巻き起こった。

柳はヴァイツをはじき飛ばす。

ヴァイツは柳と距離を取る。

ヴァイツは肩についた雷撃砲から、雷の弾を発射する。

柳はそれを斬り裂く。

ヴァイツは典型的なサイボーグ妖魔だ。

おそらく生体パーツはほとんどあるまい。

「ライトニングスラスト!」

ヴァイツの、雷をまとった突きが柳に繰り出される。

柳は氷を出して、それを防ぐ。

「ヒャーッハッハッハッハッハ! どうしたあ? そんなものかあ? 俺様に反撃してみろ!」

今のところ、柳はヴァイツからの一方的攻撃を受けていた。

ヴァイツの攻撃は猛烈な攻撃だった。

だが、柳に反撃のチャンスがないわけではない。

「クヒャハハハハハハ! ハーハハハハハハハハ! さあ、とどめを刺してやるぞ! 雷霆突らいていとつ!」

すさまじい雷の突きが柳に放たれた。

しかし、柳はそこにいなかった。

ヴァイツの首が飛んだ。

「なっ、なにい!?」

ヴァイツの首と胴が分断された。

「俺の勝ちだ」

「く、くそったれ……」

ヴァイツは死んだ。

「くっ……羅道……待っていろ……」

柳は再び走り出した。

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