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アヤナウチテ  ~妖討手~  作者: 野原 ヒロユキ
~金剛寺 羅道編~
17/21

ピングイーニとカメリオーネ

柳はピングイーニの前に姿わらわした。

「白薙会にこうしてやってくるなんてな。俺たちをなめているのか?」

「コッコッコ! おまえ、天草 柳だな? カーカカカカカカカ! 俺はついている! ほかならぬ天草 柳と戦えるんだからな!」

「おまえの名前は?」

「クワクワー! 俺はピングイーニ! 羅道様直属の妖魔だ!」

ピングイーニは太った二足歩行のペンギン型妖魔だった。

「おまえも氷を使うのか?」

「クワー! その通り! 俺の氷技を見せてやろう! 死ねクワ!」

ピングイーニが口から氷の弾丸をはいた。

氷が固まる。

柳は跳びさって回避した。

ピングイーニは芝を滑るように移動してきた。

柳に体当たりするつもりだ。

こんな体格の妖魔の体当たりを受けたら、骨の一本は覚悟しなけれbならないだろう。

柳はできる限り引き付けてこのタックルをかわす。

「クワー!」

ピングイーニは氷を口からはき出した。

柳はそれを刀で斬り捨てる。

「凍りつけクワ!」

ピングイーニが口から氷の息を出す。

凍てつく吹雪が柳に押し寄せる。

柳は銀光の光を発した。

銀の光が氷の息を斬り裂く。

柳が銀光の剣で斬りつける。

柳の技『銀光剣ぎんこうけん』である。

柳はそのままピングイーニに近づき、刀で斬りつけた。

「ク、クワア!?」

ピングイーニの前に氷の壁ができた。

柳の刃は氷の壁に阻まれる。

「くっ! しくじったか!」

「クワッ! クワー! お返しだ!」

ピングイーニは氷の壁を前面に持ってきて押し出した。

柳は側面によけてやり過ごす。

「カッカッカッカ! なかなかやるじゃないか! まだまだ行くクワ!」

ピングイーニがタックルをかましてくる。

柳は今度はジャンプして回避する。

ピングイーニは一方的な攻撃をしていた。

柳はピングイーニの攻撃の前に反撃につなげられない。

ピングイーニはまるで滑るように移動し、柳を翻弄していた。

柳は銀光の刃を飛ばす。

柳の技『銀月刃ぎんげつじん』である。

だが、それはピングイーニの滑るタックルによってかき消された。

「!? ち!」

柳はジャンプしてかわすと、宙で一回転した。

「凍りつけ! フロストウェーブ!」

ピングイーニは氷の波を放った。

それが柳に迫る。

柳は抜刀の構えを取った。

柳の一撃は、氷月斬。

しかし、柳には受けに回っていた分、霊気を集められなかった。

氷の波は柳を圧倒した。

柳は横に跳んでやり過ごす。

「クワッ、クワッ、クワッ! 生きがいいクワ! これで死ねクワ! ブリザードアタック!」

ピングイーニはすさまじい吹雪を巻き起こした。

このまま柳を凍死させるつもりだ。

柳は追い込まれた。

「くっ!?」

柳は銀光でこの攻撃を防ぐが徐々に体が凍っていく。

「クワー! さあ、これでジ・エンドクワ! フロストウォール!」

銀粒斬ぎんりゅうざん!」

柳が銀色の粒子の斬撃を放った。

ピングイーニのフロストウォールは叩き壊された。

「な、なんだとクワ!?」

ピングイーニは動揺した。

ここにチャンスが生じる。

そもそも、戦いは基礎体力を競う場でもある。

ピングイーニは大技を出したがそれは妖気を大量に消費するものだった。

それに対して柳は霊気を温存したのだ。

これだけ広範囲に効果を及ぼせば、体力的にも疲弊する。

柳はピングイーニが弱るのを待っていた。

柳は一瞬にしてピングイーニに迫ると、その首を斬り落とした。

ピングイーニの顔は信じられないという表情をしていた。



カメリオーネのもとには詩穂がやって来た。

詩穂は霊弓を構えた。

カメリオーネは二足で動くカメレオン型の妖魔だった。

全身が緑色だ。

「ケケケケ! 俺様の相手が女とはうれしいねえ! おまえの名前は?」

「私は天草 詩穂です!」

「ケケケケケ! 天草? 天草 柳の関係者か?」

「私は天草 柳の妹です!」

「ケーケケケケケケ! そうかい! なら遠慮はいらねえな! 俺様の舌でなぶり殺してやるよお!」

詩穂が霊弓から矢を射った。

詩穂の矢は車を貫通させるだけの威力がある。

なんとそれをカメリオーネは舌でガードした。

「ケケケケケ! そんな攻撃は俺様には効かねえぜ! ほうら! これならどうだ?」

そう言うとカメリオーネは透明化した。

「消えた!?」

「ケッケッケッケ! どこにいるかわかるかあ? わからねえよなあ? さあ、恐怖のショータイムの始まりだ!」

詩穂は瞬間的に動いていた。

詩穂がいたところをヌメラかなものが通った。

カメリオーネの舌だ。

カメリオーネは舌を鋭くすることで、殺傷力を高めた攻撃ができるらしい。

「ほほう、かわしたか! だが、運はそう何度も通じないぜ! グリーンスティング!」

カメリオーネの尾から緑のトゲが発射された。

詩穂は妖気のトゲを霊気の矢で撃ち落とす。

詩穂はカメリオーネの位置を予測して矢を射った。

だが、すべての矢がカメリオーネに無力化された。

「ケッケッケッケ!」

カメリオーネは上方からトゲを落としてきた。

詩穂は走ってそれをよける。

カメリオーネの攻撃は執拗を極めた。

気づくと詩穂は後退していた。

カメリオーネの爪が叩き下ろされる。

詩穂はなかなか構えを取ることができない。

詩穂には反撃の機会が与えられなかった。

「どうした? どうした? ケッケッケッケッケ! 逃げるだけか? 反撃してみろよ! 俺様の攻撃が怖いかあ!」

再びカメリオーネの尾が詩穂を襲う。

詩穂は紙一重でそれをかわした。

カメリオーネがグリーンスティングを連発してきた。

詩穂は矢でそれを迎撃する。

詩穂は目をつぶった。

そしてそのままその場で動かなくなった。

「ハーッハッハッハッハ! 勝負をあきらめたかあ? いいぜえ! とどめを刺してやるよお! 死ね!」

カメリオーネが詩穂に接近する。

その時、梅の花ビラが舞った。

梅嵐ばいらん!」

すさまじい旋風が梅の花ビラと共に巻き起こった。

「なっ、なんだあ!? ぎぃああああああああああ!?」

カメリオーネは全身を切り刻まれた。

カメリオーネの擬態が解ける。

「私の勝ちですね」

詩穂はカメリオーネの頭を狙って、とどめの一撃を撃った。

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