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アヤナウチテ  ~妖討手~  作者: 野原 ヒロユキ
~金剛寺 羅道編~
10/21

情報共有

本日は退魔師協会で柳たちの情報共有の日であった。

場所は協会会議室。

出席者は柳、幹斗、羅道、クリストファー、大岩支部長だった。

「みんな集まったようだな。それではあの妖魔に対する情報共有を始めることとする」

大岩支部長が発言した。

「まず、いいかね?」

羅道が言う。

「何か?」

「あの妖魔の名は私が調べたところによると、ガシャドクロというらしい。そこで今後は名前を統一したいのだがね?」

「そうしよう。あの妖魔の名は『ガシャドクロ』だ。今後はそう呼ぶことにしよう」

大岩支部長の発言は退魔師協会としての発言になる。

これは出席者全員の了承を得た。

「ではガシャドクロはどのような妖魔か?」

「戦った俺から意見を述べさせてもらってもいいだろうか?」

クリストファーが発言を求めた。

「よろしい」

「あの妖魔ガシャドクロは強い。なにせ、鋭い爪や牙を持っている。さらに、あいつはろっ骨を伸ばして攻撃できる。この攻撃では俺たちも危なかった。それだけじゃない。ガシャドクロは灰色の炎を操り、灰炎の息をはく。これが今まで戦った中で俺たちが手に入れたガシャドクロの戦闘データだ」

「ガシャドクロは光に弱いと聞いたが?」

柳が発言する。

「ああ、そうだ。光属性があいつの弱点らしい。そこまでは突き止めたんだが……」

クリストファーがうなだれた。

彼らもあの戦いで自信を無くしているのだろう。

「あのガシャドクロは並の退魔師では危険だ。おそらく、何者かに操られていると見て間違いなかろう」

「では、いったい誰がガシャドクロを操っているんでしょうか?」

幹斗の発言である。

「現在それを調査中だ。協会としては事件をガシャドクロの退治で終わらせるつもりはない。それがどういう意図であれ、ガシャドクロを操っている者がいるであれば、そこまで探らねばならない」

大岩支部長としては表面的な解決では満足できないということだろう。

「それではガシャドクロを抑える人員と、ガシャドクロの背後関係を洗う人員が必要だな?」

柳がそう指摘した。

一同は柳の発言にうなずく。

「確かに、ガシャドクロを抑えながら、ガシャドクロの背後関係を探るのは無理だろう。ではどう役割を割り振るか?」

「失礼だが、発言させてもらいたい」

「何か、クリストファー?」

「俺たちチーム『イナズマ』は全滅しかけた。正直、俺たちではあのガシャドクロを抑えることはできない」

それは正直な発言だったろう。

柳もクリストファーの実力ではガシャドクロを抑えることはできないと思っていた。

「なら、俺がやる」

「柳?」

「がっはっはっはっは! いいねえ! よし! ガシャドクロを抑えるのはおまえたちだ、柳! 幹斗!」

「ああ、任せろ」

「おいおい、話しを勝手に進めるなよ……」

「どうした、幹斗? 怖いんか?」

「いえ、そうではありませんが……」

「じゃあ、決まりだ。おまえと柳でガシャドクロを抑えろ」

「それでは私がガシャドクロの背後関係を探るとしよう」

「おうよ。そこは羅道に任せるとしよう。ではこれにて解散とする! 以上だ!」



数日後――退魔師協会で動きがあった。

柳と幹斗も参加していた。

「羅道退魔師により、ガシャドクロを操っているポイントを発見しました」

「それはどこだ?」

釈尊寺しゃくそんじです。関係退魔師はすみやかに向かってください!」

柳と幹斗はバイクですみやかに釈尊寺に向かった。

「なあ、幹斗?」

「どうした、柳?」

「なんだか、嫌な予感がする」

「予感?」

「ああ、俺たちは何かどこかに誘導されているような、そんな予感だ」

「誘導? だけど、羅道さんが探知してくれたおかげで、発信地は特定できたろ?」

柳は胸にもやもやとしたものをかかえていた。

こういった柳の勘は当たることが多い。

柳の霊能力の一つだ。

「羅道、か……」

「どうした?」

「金剛寺 羅道……退魔師協会の資料では霊学院卒業後、退魔師活動を始めたと書かれていた。おそらく真実だろう。あれほどの戦闘力を持つ者が名を知られていないのは気になるな」

「おい、おまえまさか、羅道さんを疑っているのか?」

「……」

柳の沈黙は肯定である。

「羅道さんは俺たちを助けてくれたろ? それを疑うのかよ?」

「ああ、そうだ。だが、あれは本当に俺たちを助けたのか?」

「それは……」

「まあいいさ。釈尊寺に行ってみればいいことだ」



釈尊寺にて。

柳と幹斗は夜、釈尊寺を訪れた。

そこにはすでに羅道がいた。

「よく来てくれた、柳君、それに幹斗君」

「現場はどうですか?」

「むう……それは直接見てくれればわかる」

「直接見る?」

「幹斗、行ってみよう」

「あ、ああ」

二人は釈尊寺に乗り込んだ。

そこには人の影が倒れていた。

「!? これは!?」

「おいおい、まじかよ!?」

柳と幹斗は目を見開いた。

現場ではすでに、関係者はこと切れていた。

血が床に流れていた。

柳は血に触れた。

「まだ、固まっていない……おそらく犯人が犯行を侵してからまだそれほどの時が発っていない。一足先にやられたか……」

「どうやらここはダミーポイントだったらしい。私が来た時にはすでにこの状態だった。犯人は逃走した」

「口封じ……ですかね?」

幹斗が嫌悪感をにじみ出す。

仲間割れどころか、リスクが増大するやいなや彼らは切り捨てられたのだ。

犯人の冷酷ぶりには嫌悪感を抱く。

柳は死体を調べた。

それには一つの共通点があった。

「これは……」

「どうした、柳?」

「どの死体も心臓を一撃だ。たった一撃で殺されている。やったのは、かなりの戦闘力を持つ人物だ。俺たちが追っているのはそういう危険な人物だということだ」

柳たちは退魔師協会の調査班を呼んだ。

あとは彼らが事件の分析をしてくれるだろう。

その後のことは彼らに任せる。


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