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第15話 精霊の愛し子

「ベアトリーチェ様!」

「エンリコ様!」


 猛然と突進してくるロレンツォやリカルドをはじめ、泥で全身を汚した家族たちがわっと押し寄せてきた。


 カテリーナ、ヴィットリオ、エルラド……みんな眉を下げて今にも泣き出しそうだ。その中にはミゲルやマッテオもいる。容赦なく家族たちにもみくちゃにされるベアトリーチェの隣で、やや手荒にエンリコを左右から抱きしめている。


 その後ろでは、目尻に涙を浮かべたリカルドが早くも拳を固めていた。


「ああ、もうこのバカ娘! 崖下に飛び降りるなんて! 私たちの寿命をどこまで縮めたら気が済むの!」

「そうだよ、ベアトリーチェ。お父様たちと約束しただろう? もう二度と黙っていなくならないって」

「ごめんなさい。咄嗟に体が動いちゃったの」


 黙っていなくなったわけではないが、素直に謝る。今は親の愛情を一身に受け止めたかった。痛いほど抱きしめてくれるカテリーナたちの背中越しに、ヴィットリオがこちらを覗き込む。


「姉さん、怪我はない? 残党と戦ったんじゃないの?」

「私は大丈夫。精霊様たちが力を貸してくれたから。でも……」


 横たわるニーナに視線を落とす。本当のことはとても口に出せなかった。エルラドとヴィットリオがショックを受けたように息を飲む。しかし、カテリーナは黙って唇を噛み締めると、ニーナの手をぎゅっと握りしめた。


 その瞳には深い悔恨の色がある。ニーナはずっと、ベスタ家の侍女として生きてきた。つまりは、かつてはカテリーナの侍女だったのだ。


「……お母様は、ニーナの事情を知っていたの?」

「……あなたが屋敷を飛び出した後、ニーナもいなくなったとヴィットリオから聞いて、まさかと思ったの。もしかして、ずっとベスタ家を……精霊の力が強い私たちを憎んでいたんじゃないかって。でも、信じたくなかったのよ。咄嗟に動けなかった。もっと早く駆けつけていたら、ニーナは……」


 うう、と嗚咽がこぼれ、縋り付くようにニーナの手を額に当てる。カテリーナが声を上げて泣くのを見るのは初めてのことだった。


「許して……。許して、ニーナ……」

「……ニーナは私を守ってくれたわ。私たちの自慢の侍女よ。そうでしょ?」


 肩を震わせるカテリーナにそっと寄り添う。そんな二人を、エルラドとヴィットリオが左右から抱きしめた。じわりと、確かなぬくもりが体に伝わっていく。人の体温がこんなにも温かいものだったとは思わなかった。


 ――できることなら、最後にニーナも抱きしめてあげたかったわ。


 鼻を啜り上げるヴィットリオの頭を優しく撫で、頬を寄せる。いつもニーナがしてくれたように。


「ベアトリーチェ様……」


 目を潤ませたロレンツォが、背後からベアトリーチェの肩に片手を乗せる。その瞳は相変わらず夜空に浮かぶ一等星のように輝いていた。さっきの告白を思い出して少々気まずい。しかし、ロレンツォは優しく目を細めると、ベアトリーチェに自分のマントを差し出した。


「近くにエリュシオンを繋いでいます。そろそろ屋敷に帰りましょう。ニーナも一緒に」

「あいつらもですよね。その前に一発ずつ殴ってもいいですか?」


 リカルドの指差す先には、千切れた木の根で拘束された射手と、その近くで所在なげに佇むニケがいた。よほど気に入っているのだろうか。いつの間にか回収した腰布をマントのように身につけている。ニーナに切り付けられた時に纏っていたのが災いしてか、結び目のあたりが少し切り裂かれていた。


「そんな、人を殺しそうな目で見るな。少なくともニケはよくやってくれたよ。彼らをどうするかはケルティーナ側が決めることだ」


 容赦なく制裁を受けたらしい。両頬を腫らしたエンリコが、今にも飛びかかりそうなリカルドを制し、ニケたちに近寄っていく。そして手を差し伸べようとした時、ニケが声もなく地面に倒れた。


「ニケ?」


 慌ててその場に立ち上がり、ニケの元に駆け寄る。ひどい顔色だ。額にもびっしりと汗をかいている。


 跪いたベアトリーチェから脇腹を隠すように身を丸めたのを見てピンときた。エンリコにニケを押さえてもらうように頼み、腰布を剥ぎ取ってシャツを捲り上げる。交戦中に敵の刃を受けたらしい。脇腹の傷口から血が流れていた。


「なんで黙ってたの!」


 叱りつけながら、傷口に手を当てる。さっきほど力は湧いてこないが、まだ使い果たしてはいないはずだ。しかし、いくら治療の力を込めてもニケの傷は一向に塞がらない。それどころか、呼吸に合わせてどんどん血があふれてきているようだ。


「どうして? どうして塞がらないの?」


 上擦ったベアトリーチェの声に、家族たちも血相を変えて近寄ってきた。隣に膝をついたカテリーナに、子供みたいに縋り付く。


「お母様、どうしよう! 私、さっき力を使いすぎたの。だから塞がらないのかも……!」

「落ち着きなさい、ベアトリーチェ。私が血を止めるわ。あなたは傷を塞ぐことに専念しなさい」


 力が弱くなっても、今まで積み重ねてきた経験は裏切らない。横で見ていてもわかるほど、カテリーナの精霊の力の扱いは巧みだった。しかし、二人がかりで力を込めてもニケの容体は良くならない。「どうして……?」とさすがのカテリーナも困惑顔だ。


「傷口を見せてくれ、ベアトリーチェ嬢」


 ベアトリーチェを押し除けたマッテオが、ニケの傷を診察してチッと舌打ちをする。


「毒を受けたな。傷口が変色している。おい、ニケ。ユスフが狩猟で使っていたのはドリスだけだな? それともネレウスとかけ合わせたものか?」


 しかしニケは答えない。薄く笑い、マッテオから目を逸らした。それでニケの意図を察したのだろう。「このガキ……」とマッテオが憎々しげに唸る。


「毒って……。そんな! 嫌よ、ニケ! あなたまで死ぬなんて!」


 矢だけではなく、刃にも塗られていたというのか。取り乱すベアトリーチェを尻目に、マッテオはニケの口に丸薬のようなものを押し込んだ。


 水を乞われて、精霊の力で出現させた水をニケの口に注ぎ込む。ニケは薬を飲み込むのを抵抗しているようだったが、マッテオに容赦なく鼻と口を塞がれ、ようやく音を立てて飲み下した。


「嘔吐剤? 吐かせるの? でも、ニケの場合は飲んだんじゃ……」

「違う、解毒剤だ。バナヌの中和成分を多量に含ませたから、ネレウスと合わさっていても有効なはずだ。ベアトリーチェ嬢、ニケの体を温めてくれ。後は対症療法でしかない。屋敷に戻ってバナヌティーをたらふく飲ませるんだ。何もしないよりはマシだろう」

「解毒剤って……」


 ベアトリーチェの肩にかかっていたロレンツォのマントを奪い、テキパキとニケを簀巻きにし出したマッテオに、ヴィットリオが呆然とした顔で言う。


 そんなに都合よく解毒剤が出来るのかと言いたいのだろう。指示に従ってニケとマントの隙間に暖かい空気を送り込みながら、ベアトリーチェもマッテオを伺う。いくら腕のいい医者といえども、ケルティーナの薬草医たちが今まで作り出せなかったものを完成させるとは俄かに信じ難かったからだ。


 マッテオはそんな周りの視線など斟酌せずに淡々と処置を終えると、リカルドに馬を取りに行かせた。「俺も行きます!」とロレンツォがその後を追う。


「私は十年前、友人を毒矢で亡くした。それからずっと研究してたんだよ。ここの医学書を読んで、ようやく試作品が完成したんだ。まさか最後のピースがバナヌだと思いもしなかったがな」


 十年。マッテオが医者になってからずっと積み重ねてきた年月だ。ベアトリーチェがまだ何も知らない子供だった頃から、マッテオはただ人を救うために生きてきた。解毒剤はその努力の結実に過ぎない。一瞬でも疑った自分が恥ずかしい。


「ありがとう、マッテオ様。私……」

「礼を言うならあなたの先祖に言ってくれ。中和成分の抽出方法を編み出したのは彼女なんだからな。小庭のネレウスも、保護するために植えたものだったらしいぞ」

「えっ、そうなの?」


 目を丸くするベアトリーチェに、マッテオが小さく笑う。


「書庫にあった巻物の中に研究結果をまとめたものがあったんだよ。まあ、それを試す機会はなかったようだが……」

「……つまり、俺は実験台ってことですか……」


 掠れた声でニケが呻くように呟いた。早くも効き目が出てきたのか、多少顔色が良くなったような気がする。


「憎まれ口が聞けるなら大丈夫だな。それに、どうせ耐性持ちなんだろう。今まで息をしてるのがその証拠だ。毒を後ろ暗い仕事で使うやつは、大抵、幼少時から慣らしてるもんだからな。さしずめ、毒が回るのを待ってたんだろうが……」


 そこで言葉を切り、マッテオはハッと笑った。死を嘲笑うような、そんな顔だった。


「医者の目の前で死ねると思うなよクソガキ。せいぜい研究の役に立つんだな」

「……怖いなぁ。ランベルト王国人って……みんなそうなんですか。お嬢様、フランチェスカに行くのは……考え直した方が、いいですよ……」

「やかましい。いらん口をきいてこれ以上体力を使うな」


 軽口を叩くニケをマッテオが張り飛ばす。その背後からリカルドがエリュシオンの手綱を引いて戻ってきた。ロレンツォも同様に、自分たちが乗ってきた馬を連れている。


「姉さん、エリュシオンは小柄だよ。大人二人だとスピードが落ちちゃう」

「わかってるわ。ニケに風の力をかけるわね。屋敷までは持つはずよ」


 カテリーナの力も借り、ふわり、と浮き上がったニケを馬上で受け取ったリカルドが「精霊の力って便利ですね」と感心した声で言う。


「お嬢様……。お先に失礼しますね……」

「ニケ、死なないでね。絶対、絶対よ!」


 縋るベアトリーチェにニケが笑う。その顔は、いつもと変わらぬ御者のものだった。


「大丈夫だ、ベアトリーチェ嬢。マッテオがついてる。精霊の力がなくとも人は治せるんだ。それが人の力ってやつだよ」


 エンリコの伝えたいことはよくわかった。何十年、何百年前から積み重ねてきた人々の想いと技術。それこそが未来を作り上げていく土台となるのだ。精霊の力は、それをほんの少し押し上げるだけに過ぎない。


 そうね、と答えたかったが言葉にならなかった。遠ざかっていくニケたちを見送って緊張の糸が切れたのかもしれない。ぐら、と体が傾き、徐々に意識が遠くなっていく。


「ベアトリーチェ嬢?」


 不審げに眉を顰めたエンリコが、ベアトリーチェの肩を抱いて顔を覗き込む。踏ん張ろうと思っても、とても堪え切れない。エンリコの逞しい腕の中で膝がガクッとくずおれ、赤い髪がふわりと宙を舞う。


 ――ああ、また心配させちゃうわね。


「ベアトリーチェ嬢!」

「ベアト!」


 叫ぶエンリコと家族たちの声を背に見上げた空は、どこまでも青く澄み渡っていた。






 ベアトリーチェは夢を見ていた。とても優しくて、悲しくて、切ない夢だ。


 なぜ夢だとわかるかというと、死んだはずのニーナに膝枕をされて、頭を撫でられているからだ。優しく髪を梳るその手はまだシワシワではない。ベアトリーチェの姿も、ぬいぐるみを抱いていた頃の姿と変わりなかった。


「お嬢様、もう十分眠ったでしょう? そろそろお目覚めの時間ですよ」

「嫌よ、ニーナ。まだ目を覚ましたくない。だって、そこにニーナはいないんだもの」


 膝に顔を埋めて駄々をこねるベアトリーチェに、ニーナがくすりと微笑む。


「あらあら。お嬢様ったら、本当に甘えん坊なんだから。これが最後のお別れなんですから、その可愛いお顔を見せてくださいな」

「……その言い方、ずるいわよ」

「そうじゃなきゃ、お嬢様方の侍女なんて務まりませんからねぇ。カテリーナ様も子供の頃は、よく癇癪を起こしたものですよ。……さあ、お嬢様」


 再度促され、渋々顔を上げる。まっすぐにこちらを見つめる(はしばみ)色の瞳の中に、涙目のベアトリーチェが映っている。もう、子供の姿じゃない。愛しげに頬を包むニーナの手も、いつの間にかシワシワになっていた。


「ねぇ、お嬢様。私はずっと、あなたを見守っていますよ。何か困ったら、ポケットの中を探してみてください。いつだって、奇跡は身近なところにあるものですからね」

「ニーナ……」

「忘れないでください。あなたは自由な小鳥。どこまでも遠く羽ばたいていけるんですよ」


 ゆっくりと立ち上がったニーナが、ベアトリーチェの頭を撫でる。そして、ついにその手が離れた。


「待って、ニーナ!」


 叫び声と共に、ふ、と目を開く。視界の先に広がるのは薄暗い室内に見慣れた天井だ。優しい夢は終わってしまった。涙がつうっと頬を伝っていく。


「お、目を覚ましたか」


 ぐしぐしと目を擦るベアトリーチェの顔を、誰かが横から覗き込んだ。女性だ。それもかなり美人の。腰まで伸ばした豊かな赤毛を緩く三つ編みにし、ゆったりとしたカフタンワンピースを身に纏っている。貴族の女性なのだろうか。いかにもお高そうな黄金色のピアスや腕輪が、よく日に焼けた肌に似合っていた。


「あの、どなた……」


 そう言いかけて急に意識が覚醒した。目の間の女性には見覚えがある。二年前、精霊の力が発現した後でカテリーナに引き合わされた。


「そ、そこで何をされているんですか。女王陛下……」

「おう、覚えてたか。誘ってもちっとも城に来ないから、すっかり忘れられていると思ってたぞ」


 震えるベアトリーチェに満面の笑みを浮かべるのは、このケルティーナを統べる女王。ミシェル・オブ・ケルティーナその人だった。


 ――なんで、こんなところに女王がいるのよ! お母様が呼んだの? 近所の友達じゃないのよ!


 頭の中はもうパニックだ。今にも叫び出したいのを必死に堪える。さすがに女王の前で喚き散らす勇気はない。


「いやな。私の力を破ったやつがいたからさ。様子を見にきたんだよ。そしたらまあ、やっぱりベスタだったかーって」


 座っていた椅子をずりずりと引きずって近寄ってきた女王が、まるでベアトリーチェの心読んだかのように、茶目っけたっぷりな顔で笑う。


 私の力、とは女王の髪を織り込んだ縄のことだろう。確かに精霊の力で焼き切った。調べられればすぐにわかる。とても言い逃れはできない。


 今日まで女王を女王たらしめているのは、精霊の力を無効化する力を備えているからだ。一時的とはいえ、それを破ったベアトリーチェを王家が見逃すとは思えなかった。


「あ、あの、もしかして投獄でしょうか……」


 恐る恐る問いかける。しかし女王はキョトンとした顔で「いいや?」と片手を振った。


「やめてくれよ。お前を投獄なんてしたら、カテリーナに殺されちまう。ただでさえ面倒ごとを押し付けて恨みを買ってんのに」


 この口ぶりからすると、エンリコのホスト役を申し付けたのは女王らしい。道理でカテリーナが断らなかったわけだ。


「あいつもなー。子供の頃はいっつもぬいぐるみを抱きしめてて可愛かったのに、最近はすーぐ怒るんだ。お前もそうなるのかな?」


 そう言って首を傾げる女王は、カテリーナより遥かに若く見える。一体幾つなのだろうと思っていると、顎を掴まれて顔を覗き込まれた。


 他には見ない虹色の瞳だ。じっと見つめられると、何だか頭の中を覗かれるような気がして落ち着かない。内心怯えるベアトリーチェを尻目に、女王は微かに眉を(ひそ)めると、つまらなさそうに手を離した。


 よくわからないがお眼鏡にはかなわなかったらしい。ドキドキとうるさい心臓を落ち着かせながら、女王の様子を伺う。


 どかっと音を立てて背にもたれ、長い両手足を組んでギシギシと椅子を揺らすというとてつもなく悪い態度だが、絶世の美女がやると様になるからずるい。


「たまーにいるんだよな。お前みたいに、精霊たちにとにかく愛されるやつが。そういうやつのことを、私たちは『精霊の愛し子』って呼んでる」


 女王の言う「私たち」が誰を示しているのかは聞かなかった。聞けば後戻りできなくなるような気がしたからだ。それを察したらしい女王がにやーと嫌な目で笑う。


「四百年ぐらい前にもいたな。お前と同じで、海向こうに憧れる破天荒なやつだったよ。小さな船一つで飛び出して行って、散々暴れ回って帰ってきたっけ。その妹も草や花の研究に没頭する変なやつだったし、血は争えないな」


 それはきっと、手帳の主と小庭の主のことだろう。楽しそうにけらけらと声を上げる女王を尻目に、ベアトリーチェは沈黙を貫いた。


 何百年も生き続ける人間なんていやしない。さっきのカテリーナの子供の頃の話だって、親か誰かから聞いたんだろう。きっと、いや、そうに決まってる。


「何だよ、その顔。お前もこっちに片足を踏み込んだくせに」


 貝のように口を噤むベアトリーチェに口を尖らせた女王が、ふと思いついたように部屋の隅に視線を向ける。そこには小さなトルソーにかけられたローブがあった。


「綺麗なローブだな」


 それは襲撃の夜に来ていたローブで、ニーナの手で綺麗に修復されていた。窓から飛び出したベアトリーチェを追う前に完成させたのだろう。憎く思う相手の服を繕うのはどんな気持ちだったのか。ニーナを思うと、胸が痛んだ。


「……おっと、そろそろ潮時か。勘のいいやつらめ」

「え?」

「足音。聞こえるだろ?」


 耳をすませると、ぱたぱたとこちらに駆け寄る複数の足音が聞こえた。ベアトリーチェが起きたことを察したのか、もしくは女王がいる知らせを聞いたのだろう。言われるまでわからなかった。よく気付いたものだ。


「じゃあな、ベアトリーチェ。会えて嬉しかったぞ」


 腕を解いて優雅に立ち上がった女王が、ベッドの上のベアトリーチェに微笑む。


「何か困ったらポケットの中を探ってみるといい。いつだって、奇跡は身近なところにあるものだからな」

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