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妖怪✕人間の救済記録  作者: 山公乃傘
二章 学校の七不思議編
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幼馴染みとガチファンの思考

 そしてこの時、津島よりも驚いていた人物が二名。


 一人は津島の幼馴染、柏村(かしわむら)(さい)

 赤茶色の髪の毛を持つ体育会系の少年で、その目は大きく見開かれている。


 彼は津島と長い付き合いがあるため、津島の破天荒な行動を多く見てきている。更に幼馴染と云う事もあり、これまで津島の行動を(一応)監督してきた。

 まあ、詰まるところお目付け役としての役割を自主的に行ってきたわけだが、そんな彼の心の声が此方(こちら)


 な、何だと!? これまで一度も部活に入らずフラフラとしてきた三七十がすでに入部している?! どういうことだ?

 何があった? 否、若しかしてあの、水浅葱先生のせいか?

 ま、まさか彼奴……。


 文化祭での津島と綿雪の様子を割と近くで観察していた柏村は、此処で一つの勘違いを加速させた。


 水浅葱先生は違うと言っていたが、否、この場合なら……。


 机に突っ伏している津島を見、そんな中何故か我鬼とコントを始めた綿雪を見、そして暫く天井を見つめると、


 あいつ、まさか先生の事好きなんじゃね!?


 と、心の中で叫んだ。




 もう一人は、教室の後ろの方で静かに津島をみつめる、青い目を持つ、黒髪の少女。

 彼女の名前は竜胆(りんどう)ルーシー。写真部部長。


 だが、彼女にはもう一つの顔があった。


 津島が美少年なのはもう描写があるだろう。彼の数少ない長所の一つである。故に一目ぼれの女子や、なんか顔と性格のギャップが萌えるとか何とかで行動を観察して楽しむ女子が一定数存在する。

 で、後者の者たちがファンクラブを形成しているのだが、その会の会員番号一番兼会長の人物こそ彼女、竜胆ルーシーである。


 彼女は驚いた。高校に入って一日目から観察を重ね一週間目にファンクラブを開設した彼女は、津島は絶対に部活に入らないという事を確信していたのである。


 ……今更だが、この小説にはやばい奴しか登場しないのか?



 このように滅茶苦茶驚いていた二人だが、同時に同じ決意を固める。



 三七十がその部活に居るとして……その部活、大丈夫か? 三七十は居るだけでアウトだし……水浅葱先生は、微妙に不安だし。


 地の文として言っておこう。この部活は大丈夫じゃない。確実に大丈夫じゃない。


 柏村はこの時点で或る結論に至る。


 なんか変な部活には入らないでおこうとは思ってはいたが……。

 幼馴染として、三七十の暴走を止めるためにも、三七十の恋を応援するためにも……

 



 水浅葱先生とは懇意のようだった。居候しているという話からも、彼女に聞けば平日の様子も探れるかも。……話が通じそうだし、あわよくばあんな写真やこんな写真も手に入るかもしれない。


 また地の文として言っておこう、こいつやばい奴や。


 竜胆は柏村を同じく、ある結論に至る。


 津島君が部活をするなんて珍しいし、更なる観察をするためにも……レアショットを手に入れるためにも……ここは……



 入るしかねえっ!


 入る以外に選択肢がない。



 上が柏村、下が竜胆の言葉である。




「否だから、なんでそんな頑ななのさ、ショウセイ君は」

「小生の名前はショウセイではない!!」

「……やっぱり何が有っても、突っ込むのはそこなのだねえ」


 綿雪と我鬼が無意識に漫才を繰り広げている中、教室の中で二つの手が上がった。


「おっ入部志願者かな?」


 と、綿雪が声を上げる。


「はい、三七十が入るならちゃんと監視しなきゃいけねえんで」


「……私も入ります」


 二人の言葉に、綿雪の顔がぱあっと明るくなる。


「おおっ。やった。ショウセイ君、一時間目に人数揃ったよっ」

「……良かったな。そして小生の名前はショウセイではない」


 人数がそろってうきうきとしだす綿雪。


 きっとこの後手続きやら何やらで、活動は来週位になるんだろうなあ……と現実的なことを考える柏村。

 此の後は平穏に授業が在ったのでした。めでたし、めでたし……


 ……なんてことになるはずもなく。


「じゃあ早速同好会発足の書類を書いて提出しなければ! 今日活動するなら授業なんてやっていられない。すぐに職員室へ戻らなければ!!」


 ……は?


 と、津島含むクラスの心が一致した。

 まあ、そんなことをこの妖怪が構うわけもなく。


「ちょっと行ってくる!!!」


 と云って、綿雪は教室から出てしまった。

 確り者の学級員長が、廊下を走る綿雪の後ろ姿に慌てて聞く。


「せ、先生?! 授業は!!?」


「自習!!」


 綿雪は言い放つと、そのまま廊下の角へと消えていった。



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