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神社にて
お久しぶりです。作者です。
そして始まりました。妖怪共社編。異能力のことも怪異のことも大分分かってきた現在、綿雪ちゃんがなにやらお手紙を受け取ったようです。
ここから触れるのは、妖怪達のお話。
楽しくて、愉快で、安心安全な、黑狗と灰猫の家の話。
そして、ちょっぴり不穏な……三月の、春休みの、お話。
ぺらり、という音が鳴る。
三月、漸く気温が上がってきて、これから本格的に春うららかとなりそうな時期。私はいつも通り、夜の神社に訪れていた。
手許にあるのは、吉と書かれた御神籤。運勢の下には「水浅葱殿、此方に来られたし」と伝言が書いてある。目の前にあるのは神籤掛けに見せかけた、厄介な組織からの伝言板だ。
今回の用事は無茶な「お願い」か、それとも何かしらも文句か。
気が進まないけれど、まあ兎に角も無視をしたら後が怖い。「はあ」と、せめてもの反抗で溜息を一つ。そのあと星を眺めてから、御神籤を燃やす。
指先から這うように進んだ炎が、特徴的な紙質のそれを、ただの炭へと変えていく。面倒だなと思いながらも、移動術を使い、行き先を「妖怪共社」へと指定する。
「また、小さなお使いか何かだと良いのだけれども……」




