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愛の花、その香り―  作者: 深崎 香菜
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プロローグ

初めての病み作品かもです。

こちらの更新はかなり不定期になりそうですがお付き合い願います

「続いてのニュースです。K市H区のマンションで殺人事件が発生しました。被害者は現場のマンション在住『柏原 愛花(かしわばら まなか)』さん十九歳。心臓を抉り取られた状態で死亡しているのが発見されました。第一発見者は愛花さんのご両親。

結婚記念日の旅行から帰宅後、自宅は明かり一つついていない状態で不審に思い愛花さんの部屋を覗かれたところ、部屋は血の海と化しており、床に倒れる愛花さんとその隣には殺人容疑て逮捕された・・」


 ブツンという音がして画面が消える。振り向くとリモコンを持つ上司が立っていた。

「ここ、禁煙っす」

 喫煙者にはキツイが、ここ数年で禁煙と言う文字をよく見るようになり、まるで何か悪い事をしているかのように思わせる檻とも言える喫煙スペースじゃないと煙草が吸えないという事が増えている。と、言ってもこの人は何処にいってもそれを気にせず煙草を吸うのだ。

「佐藤、火ぃくれねぇか」

「だから、禁煙ですって」

「……っち。そんなんだからおめぇには女の一人もできゃしないんだ」

「余計なお世話です。」

 煙草を吸うのを諦めたのか、上司である若林さんは俺の隣のソファに腰掛けコンコンと、机を煙草で叩く。

「テレビ、どうして消したんですか」

「……狂ってやがるなー、世の中」

「え……? ああ。本当に、酷い事件ですよね。異常にも程があります…」

「ホトケさん、心臓がとられてたんだって?」

「あ、はい。まあ……すぐに見つかってるんですけどね」

「犯人は心臓を抱いてたってか」

「はい……」


 この事件は本当に異常だった。

 殺害されたのは市内の大学に通う女子大生。彼女は昨晩、心臓を抉り取られ発見された。

 犯人は逃げずにその場に留まり、動かなくなった心臓と遺体と共に二晩過ごしている。それも、心臓を抱いたまま、だ。異常にもほどがある。

 犯人は何を聞かれても同じことしか答えないし、話さない。俺も立ち会ったがこっちの頭がおかしくなりそうだった。


 俺は小さく溜息を一つ吐くと、コンコンと苛立ちを訴えて煩い上司にライターを渡すのだった……




 *  *  *  *  *  *  *



 誰が悪いのか。

 言い出したらキリがないかもしれないわね。けれど、私は断言できる。


 あなたが悪いのよ……?


 でも、この言い方だとあなただけが悪いようね。じゃあ言い方をかえましょう。


 他人に惑わされたあなたが悪いのよ。


 ドクドクドクドクドクドクドクドクドク・・・


 止まることのない朱の涙。ああ、これはあなたの涙なの?でも自業自得だから私は助けることはしないわ。

 あ、また違うかな。そう、私はあなたを助けにきたのよ……

 生きているから、考える事が出来るから“違い”を生み出す。ねえ、そう思わない?

 だからね、私、考えたのよ。あなたの魂をそんなばかげた事から解き放ってあげようかな、って。

 私と一緒になれば同じ考えを持ち、同じ事をして……ね? そうすればずっと一緒じゃない……


 ゆっくりと、彼女が着るブラウスのボタンを外していく。全てを外し終えると薄い水色のブラが露になった。

 月明かりしかない所為ではっきり見えない……残念。けど、今は我慢してね?

 そのブラは鋏を使ってカップの真ん中の部分を切ってしまう。少し固かったけれどこんなもの、大した事ないわ。

 そうすると形の良い可愛らしい彼女の胸が月明かりに照らされた。私はその愛しい胸を優しく包んであげる。

 まだ僅かだけれど温かさの残る彼女。こうすればまた、小さく声を漏らしてくれるんじゃないかと期待するけれどそんな様子は見せない。


 さあ、ここからが本番。あなたを助けてあげなくっちゃ。

 私はお医者さんじゃないから上手くは出来ないけれど……

 彼女の胸に切込みを入れる。少し失敗。もう一度やり直す。肋骨が邪魔だから、あらかじめ用意しておいた金槌で壊してしまう。

 ああ……このときにあなたに傷をつけないようにしなくっちゃ。もう少し下の部分を切ればいいのかしら?だって、テレビでは手術の時にそこでま詳しく描いてくれないものね。ま、今は別にいいわ。

 それに何処に何があるなんて、正直わからないわ。こんなことなら、保健の授業はもう少し真剣に聞くべきだったかしらね。

 手を入れて探す。まるでくじを引いているような気分。そして、私は見つける……彼女を。

 彼女を抱き、愛でる。これで彼女は生から解き放たれた。これで私たちはずっと同じ。違わない……交差する事は、ない。

「わたしたちは一緒じゃないと、駄目なの……ずっと、一つなの……くす…くすくすくす……あはははははははははっはははははははははははははは!!!」





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