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魔法の箱

 指を動かしただけで発動された空間魔法により、亜空間を開いた副所長は亜空間に手を突っ込んだかと思うと、物を取り出してテーブルに置いていく。



 流石は最年少で魔塔の副所長になった天才魔法使い。

 指の動き一つで亜空間から物を取り出すのは流石というべきか、空間魔法の無駄遣いというべきか、私は複雑な心境でテーブルに置かれた物に視線を向ける。

 

 テーブルに並べられた手紙と折り目が付けられた本、綺麗に梱包された箱が並べられる。


 副所長が私に手紙を書くなんて思わないから、手紙はデイジーからだろうけど、この本と箱は何かしら?



「これは…私にですか?」


「この手紙と本は君の友人から、そして、これは僕からシャーロットへのお土産だ」


 そう言って手の上に乗せられた箱をジーと見つめていると、副所長が不思議そうに聞いてくる。


「開けないのか?」


「今開けてもいいのですか?」


「勿論」


 副所長の言葉を聞いた私は、箱を膝の上に置き、リボンを解き開けると目を輝かせる。


「まぁ……!」


「シャーロットが喜ぶと思って買ってきたんだ」  


 箱の中には可愛くデコレーションされたカップケーキにクッキーが詰められている。


 しかも、カップケーキとクッキーには甘い物好きで知らない人はいないほど有名なパティスリーのロゴ入りだ。


 一度は行ってみたいと思っていたけど、中々行く機会がなかったのにどうして…


「ここは貴族でも買えないと有名なパティスリーなのですよ!並ばないといけないと有名なのに……」


「僕は魔塔の副所長だからな。コネぐらいある」


 

 そう言って、私の反応を満足そうに見た副所長は笑っていた。


「ンンッ…ありがとうございます」


 副所長が笑う姿を見て、自分が興奮していた事に気付いた私は、わざとらしく咳をした。


「お土産は本当にありがとうございます。いつ食べられるか分からなかったので本当に嬉しいです」


 何から食べようかしら?カップケーキは生ものだからカップケーキから食べるべき?でも、サクサクのクッキーも捨てがたいわね…


 そうやって悶々と考えていると、副所長が驚きの発言をする。


「生ものは腐りやすいって言っていたから、箱に保存魔法をかけておいた。好きな時に食べるといい」


 何でもない様にお茶を飲みながら言う副所長に、私は箱の中を見ていた目を副所長に向ける。


「この箱に保存魔法をかけたのですか?」


 貴族の屋敷では、魔法使いに依頼して鉄の入れ物に保存魔法をかけてもらう事が一般的だが、お金がある貴族だからこそ出来ることだ。


 しかも、魔塔の副所長がこんな紙の箱に保存魔法をかけるなんて…


 ただの紙の箱が大金の価値がある紙の箱だと知った私は、そっと箱の蓋を閉じた。


「??食べないのか?」


「後から味わって食べようと思います。今は驚いて味わえない気がするので…」


 心を落ち着かせる為にお茶を飲む私を副所長は「そうか」と不思議そうに見ていた。


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