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ジェレミー・エルバート

 部屋の中に入って最初に目に飛び込んできたのは、ここに居るはずのない人物だった。


 どうしてこの人がここにいるの?


 困惑してドアの前に立っていると、男性が口を開く。


「シャーロット。久しぶり」


 そう言って、人の家のソファで足を組んで優雅に座り、お茶を飲む男性は微笑みながら寛いでいる。


 その男性はかつての留学先であり、今では勤め先でもあるラミア国の魔塔の副所長であり私の上司であるジェレミー・エルバートだった。



「エルバート副所長。どうしてここにいるのですか?」


 ため息と共に吐き出された疑問の言葉に副所長は、その端正な顔を崩す事なく、ティーカップをテーブルに置いた。


 

 その些細な動きでさえ、気品を感じさせる動きと端正な顔立ちでメイドが興奮していた理由を私は理解する。


 青みがかった黒髪に、冷たさすら感じる瞳は理知的な光を宿し、紫色の瞳は光の反射によって色が変化する。

 

 スッと通った綺麗な鼻筋と、整った輪郭はジェレミーの美しさを際立たせる。


 美しさだけではなく、魔法の才能を認められて最年少で魔塔の副所長に就任したジェレミーは、王族からも覚えめでたいと言われるほどの人物である。


 その人物が私の家でお茶を飲んでいると誰が予想できるだろう。



「仕事でこの国に用事があったのと、友人に会いに来るついでに、君の家に寄ったんだ」


 仕事?魔塔から出たがらない、仕事中毒の副所長が?

 それに、副所長にこの国の友人がいるのも初耳だ。



「……私の家をどうやって知ったんですか?」


「管理課の君の友人に聞いたら教えてくれたよ」


 管理課の友人…デイジーね。あの子は副所長のファンだから、聞かれたら答えてしまうのも納得だわ。


「家を知っている理由は分かりました。でも、どうして私の家に来たのですか?」



 私の言葉に副所長は「そうだ」と思い出したかのように話し出す。



「シャーロットに会うと言ったら、君の友人に渡してくれと頼まれていた物と、君にお土産を持って来た」



 そう言って、副所長は空中に円を描く様に指をクルッと回した。


 

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