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告白

 副所長は顔を赤く染め、手で口を隠す。副所長の目は心なしか、いつもより潤んで見える。



 副所長のこんなに動揺している姿を初めて見た私は、副所長をじっくりと観察をする。



 装飾品がたくさん付いた、ラミア王室を象徴とする深い青色の服は、副所長を更に輝かせていた。石造りのこの場所では、より一層、副所長が浮世離れした存在に見える。



 かき上げられた前髪のおかげで、副所長の夜を溶かしたような紫色の瞳が、宝石のように輝いて見える。


 私の知らない副所長の姿に、少し悲しい気持ちなってしまう。



 ぼんやりと考えていると副所長と目が合う。

 副所長は目を逸らして、「こんなはずじゃ……」と私には聞こえない声で呟いた。



 副所長の言葉通りに、しばらく待っていると、副所長は意を決したような顔で私を見る。



「シャーロット」



 重く、一言一言、心を込めて呼ばれた名前に、私はビクッと身体を震わせる。



 何を言われるのかと、身構えながら「はい……」と発せられた言葉は震えていた。



 緊張感に包まれ、静かなこの空間で、私の心臓が悲鳴をあげる。



 副所長に心臓の音が聞こえてしまいそうな、静かな沈黙は副所長によって破られる。



「僕もシャーロットのことが好きだ」

 


 真っ直ぐに目を見て、告げられた言葉に、私は瞬きも忘れて、副所長を見ることしか出来ない。



 副所長も私のことをそう思ってくれたらいいのに、と思っていたけれど、実際に言われると頭が真っ白になる。



 沈黙する私に、副所長は「何か言ったらどうだ」とジロっと私を見た。


 副所長の視線に、私は何を言ったらいいのか考える。



 私も好きです?いいえ、それはさっき言ったわ。愛しています?それは少し重いかも……。



 何を言ったらいいのか、ぐるぐると考えていると副所長の目に、不安の色が浮かぶのを見た私は、勢いで口を開く。



「副所長は!……私の事を……いつから、その……」



 何も考えずに出た言葉の羅列は、文章になることなく、尻すぼみになって消えていく。


 

 そんな私の言葉に何を聞きたいのか分かったのか、副所長は「あぁ……」と言った。



「聞いたら、後悔するかもしれないぞ?」



 副所長はフッと笑うと、意地悪な顔をして言った。


 副所長の言葉に、ドキドキと高鳴っていた心臓の音がやみ、私はきょとんとした顔をする。



 後悔?副所長がいつから私を好きなのかと聞いて、どうして私が後悔するの?



「どういう意味ですか?」


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