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出生の秘密

 記事には副所長の今までの経歴と功績を称える内容と、王族の方たちの言葉が載っている。



 王の弟ということは……前国王の息子?

 前国王には一人の息子であるヴェイセル様と、二人の娘がいる。ヴェイセル様は前国王が退任後、国王となった。



 そう、前国王には息子が一人だけのはずだ。



 それに、ラミア国王は三十代後半で、副所長とは歳が離れ過ぎている気がする。



 王室通信だから、真実が書かれているはずだけど、私は信じられないでいた。


 私は呆然と王室通信を見つめる。



「ジェレミーは話そうとしないだろうけど、君には知っていて欲しいから話すよ」



 マーティン様が何を話そうとしているのか、知るのが怖い。だけど、知らないといけない気がした。


 

 覚悟を決めた私は、マーティン様の目を真っ直ぐと見る。



「ジェレミーは現国王の腹違いの兄弟であり、前国王の息子なんだ」



 告げられた事実は、私がいくつか予想していた中の一つだった。



「前皇后が亡くなってから、再婚せずにいた前国王は、ある女性と出会う。二人は惹かれあい、女性と前国王は愛し合うようになると、女性はジェレミーを身篭った」



「ラミア王室は、ジェレミーの母親の妊娠を祝福した。ジェレミーを王族として迎え入れようとしたが、ジェレミーの母君がそれを拒んでね。自由を好んだ彼女は、ジェレミーに王族に入るかの判断を委ねたかったらしい。家族を大切にするラミア王室は、ジェレミーを王族として迎えない代わりに、ジェレミーを守るため、ジェレミーにある制約をかけた」


「制約、ですか?」


「ラミア王室は、ジェレミーが国外に出ないことを条件に、ジェレミーが自由にラミア国で生きることを受け入れた」



 副所長が外国に行ったことがなかったのは知っていた私は、副所長が外国に行ったことがない理由を理解した。


 どうして外国に行ったことがないのか、副所長に聞いた時、言葉を濁していたのにも納得がいく。


 だけど、ある疑問が浮かぶ。 


 私は副所長と一緒に、シェルロン国で捜査もしたし、街を歩いた記憶がある。



「制約があるのに、どうして副所長はこの国にやって来られたんですか?」

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