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ジェレミーの秘密

「また会えて嬉しいよ」


「ご招待いただき、ありがとうございます。マーティン様」



 マーティン様から、招待の手紙を受け取った次の日、私はマーティン様の屋敷に来ていた。



 以前と同じ部屋にマーティン様と、私。以前と違うのは、副所長がここにはいないということだけ。



「ジェレミーに、君の事を気にかけてくれと言われてね」



 副所長が私のことを気にかけてくれていることが、嬉しいと思う反面、私には連絡がないのを寂しく思う。


 忙しいからかもと思ったけれど、手紙の一通もないなんて……。


 

「そう、なんですね……」



 マーティン様とはやり取りをしていることに、驚きを隠せないでいると。


 マーティン様は、私を心配そうに見た。



「ジェレミーと何かあったのかい?」



 マーティン様の言葉に、私は困ったように笑った。


 心配してくれるマーティン様に、何と言ったらいいか考える。


 マーティン様は、副所長と昔から親しいから、何か知っているかもしれない。


 でも、マーティン様に私的なことを話してもいいのだろうか。



「ジェレミーの事かい?」



 言葉を詰まらせていると、マーティン様の方から聞いてくる。


 マーティン様には、私が何のことで悩んでいるのか、お見通しらしい。



「……はい。ここ何日か連絡が取れないんです」



 マーティン様の言葉に私は、手をギュッと握り話す。



 副所長がラミア国に帰り、会って話したいことがあるから待っていてくれ、と言ったきり、連絡が取れていないことを話した。  



 副所長が私のことを、どう思っているのか、いつまで待っていればいいのか不安だ、と言うと。



 私の話を黙って聞いていたマーティン様は、立ち上がると、机から紙の束を持ってきた。



「これを読むといい」


「なんですか?これは?」



 差し出された紙に、首を傾げる。



「今日、発刊されたラミア国の王室通信だ」



 どうして、マーティン様がラミア国の王室通信を?

 


 不思議に思いながら、受け取って読んでみると、私は目を見開く。



 震える手で王室通信を握り、マーティン様を見ると、マーティン様は真剣な目で私を見ていた。



 王室通信には副所長のことが書かれていた。



「これは……本当、ですか……?」



 嘘だと言って欲しい、という気持ちで聞くけれど、マーティン様は頷く。



 マーティン様が頷くのを見て、再び皇室通信を見ると、『魔塔の副所長 ジェレミー・エルバートが、実は王弟だった!!』の見出しが大きく書かれていた。


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