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過ぎる時間

「シャーロットに不安な思いをさせているのは分かっている。必ず話すから待っていてくれ」



 副所長に真剣な目で見つめられ、私は「はい……」と言う事しか出来なかった。



 私の返事に副所長はにっこりと笑う。


 副所長の顔を至近距離で見るのは初めでもないのに、副所長の笑顔に私が頬を赤く染めると、副所長はクスクスと笑っている。



 私と副所長の間に、甘い雰囲気が流れる中。



「ほぅ……」



 女性の声で見られている事に気付いた私達は、距離を取る。


 恥ずかしい……!初対面の人にこんな姿を見られるなんて。


 赤い顔を隠す様に手で覆う。



「失礼。私の事は気にせずに続けておくれ」


「あなたっていう人は……!」



 そう言って、女性に近づく副所長の後ろ姿を見る。


 私はいつから人前で、こんな事をする人間になってしまったのか。


 顔の熱さを冷ますため、手で顔を仰いでいると、副所長のはじめて見る姿に笑顔が溢れた。




 副所長は女性と共に「また会いに来るから待っていてくれ」と言い残し、ラミア国に帰って行った。



 屋敷に帰ると、メイドが出迎える。



「お嬢様おかえりなさいませ。食事の準備が出来ていますが、お客様はいつ来られますか?」



 そういえば、副所長と食事をするから用意をしておく様に言っていたんだった。



「用事があって来られなくなってしまったの。私一人で食べるから、準備をしてちょうだい」



 「かしこまりました」と下がっていくメイドを見て、私は浴室へと足を進める。



 副所長がラミア国に帰って、数日が経つ。


 私の休暇が終わりに近づく中、副所長からの手紙も、副所長が会いに来る事もなかった。



 直ぐに来るとは思っていなかったけれど、副所長がいつ来てもいいように、私は屋敷から出る事が出来ずにいた。



 まさか副所長は、私がラミア国に帰ってから話すつもりなの?


 時間だけが過ぎる中、連絡ぐらい寄越してもいいじゃない。いっそ私から会いに行く?と色々な考えが浮かぶ。



 今日も庭が見える部屋のソファで、本を読んでいると、メイドが何かを持ってやって来る。



「お嬢様、お手紙が届いております」



 メイドの言葉に、やっと来たわ!とソファから立ち上がる。


 副所長からの手紙かしら?



 手紙を受け取って差出人を見ると、予想外の人からの手紙だった。


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