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恋人、ですか?

「変な言い方をするのはやめてください」


「どこが変なんだ?私に教えておくれ」


「あなたのそういう所がーーー」



 現在、ローブを着た女性と副所長は、私の目の前で言い争いというか、副所長が一方的に揶揄われている。 



 副所長と一緒にいた人は女性だった。そして、副所長と親しげに話す姿に驚く。



 副所長が女性と親しげに話すのを初めて見る。仕事の時も、業務連絡だけしか話さないのに、この女性は副所長と親しげに話すだけではなくて、副所長の事を揶揄うのを楽しんでいる様に見ている。



 副所長はこの女性に強く出れないらしい。この女性は誰?顔は見えないけれど、魔塔でも、ラミア国でも聞いた事がない声だ。


 魔塔から出ない副所長に、親しい女性がいるなんて知らなかった。


 副所長と出会って2年と少し、マーティン様と親しい仲なのも知らなかったし、副所長が誰と親しいのかも知らない。私は副所長の何を知っているの?



 私はふとある考えが浮かぶ。

 どんなに美しい女性に声を掛けられても、相手にしない副所長に女性には興味がないと思っていたけれど、副所長に恋人がいたから、相手にしなかったとしたら?


 そして、目の前には副所長と親しげに話す女性が一人……。


 私がそんな事を考えていると知らない二人は、帰れ、帰らないなどと話している。



 しばらく二人が言い合っているのを見ていた私は、「あの」と声を掛けると、二人は同時に私を見た。



「どうしたんだ?」



 近づいてくる副所長を見つめると、副所長は不思議そうな顔をする。


 「女性とはどんな関係ですか?」と聞くか聞かないか迷う。


 今までの私は、エドワードに何も言わずに去った。私はまた、同じように何も言わないつもり?

      


 私は手をギュッと握り、決心する。



「副所長はあちらの女性と……親しい関係なのですか?」



 私の言葉に副所長は、不愉快そうな、苦虫を噛み潰したような、不思議な顔をする。


 副所長が何も言わない事にドキドキしていると。



「クッフフッ………」



 女性が笑い出した。



「アハハッ……フフ……。君が真剣なのに笑ってすまない」



 私が驚いて女性を見ると、女性が謝罪をする。



「私とジェレミーは親しい関係だが、君が考えている様な関係ではないよ」



 女性の言葉に、「本当ですか?」と副所長に聞く。



「この人の言う通り、シャーロットが考えているような関係ではない」



 副所長の言葉にホッと息をつくと、副所長が私の頬に触れた。

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