夕食の誘い
「話がある?」
「はい。副所長に話したい事があります」
いきなり私が話がある、と言った事に不思議そうな顔をする副所長を、私は真剣な顔で見る。
「今話しをするのか?」
「それ、は……」
姿勢を正して聞いてくる副所長に言い淀む。
副所長と話しをしようとは考えていたけれど、どのタイミングで話そうとは考えていなかった。
今話したら、この後の時間が気不味くなってしまうかもしれない。
それに、いざ副所長を目の前にすると、緊張してどう話したらいいか分からなくなってしまった。
「今日の終わり……夕食を取る時に話すのはどうでしょうか?」
いつも夕食前に私を屋敷に送り届け、帰って行く副所長を私は夕食に誘う。
夕食に誘っただけなのに、私の心臓はドキドキと高鳴っている。
私が緊張しているのを知らない副所長は、私の誘いに驚いているようだ。
恥ずかしくなった私は、副所長から視線を逸らして、返事を待つ。
「僕もシャーロットに話さないといけない事がある」
副所長の言葉に顔を上げると、副所長は真剣な顔で私を見ていた。
ジッと私を見た副所長は、顔を崩して笑って言った。
「夕食の時に話すのがいいかもしれないな」
副所長の言葉に、私は顔をほころばせる。
「夕食はどこで取るんだ?」
「家の者に夕食を準備しておくように頼むので、私の屋敷で摂るのはどうでしょうか?」
「外がよければ、レストランでも大丈夫ですが」と副所長に聞くと、「屋敷で大丈夫だ」と言った。
「では、準備をしておくように伝えておきますね」
夕食を屋敷で摂る事になった私達は、時間を潰すために街へ出た。
色々なお店が立ち並ぶ通りは、人通りが多い。手を繋いだり、腕を組む恋人が多くて気不味い気持ちになる。
隣に立つ副所長を見ると、何もないように歩いていて、私だけが意識をしているみたいで、恥ずかしくなる。
「違法魔法道具の記事を読みました。捜査は解決に進みそうですか?」
この気持ちを紛らわすために、仕事の話をする。
「あぁ。捜査の人員を増やして、規制に取り掛かってはいるが、思ったより違法魔法道具の流通が多くて時間が掛かりそうだ」
「そうなんですね。私に手伝える事があるなら、教えてください。休暇はまだ残っているので」
私の言葉に足を止めた副所長が口を開こうとすると、いつかのように私を呼ぶ声が聞こえた。
「シャーロット!!!」




