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婚約破棄


「婚約、破棄…?何を言ってるの?冗談でしょ?いきなり婚約破棄なんて…」


 いきなりの婚約破棄宣言に困惑したエドワードは、シャーロットの真剣な目を見て冗談ではない事を知る。


「理由を聞いてもいい?」


 私はその言葉を待っていたかのように鞄から本を出し、あるページを開いた。

 


「これは今日、発行されるゴシップ誌よ。そして、この記事にある経済省長官の子息はあなたの事よね?」


 エドワードは差し出されたゴシップ誌の記事の内容を見て目を大きく見開いた。



 その記事の内容は、"経済省の長官子息 宝石王の娘と熱い夜を過ごす!!"という見出しから始まり、"現在、経済省とステラ宝石社は鉱山権、海外への宝石の販売、関税について協議しており……経済省とステラ宝石社との会談を抜け出した2人は口づけを交わし、夜の街に消えた。……本誌は内部情報の流出、収賄について監査機関に異議申し立てをする予定である"と締め括られていた。

 

 そして、ご丁寧にも腕を組み恋人のように寄り添い口づけを交わしてるように見える写真付きである。



 ゴシップ誌を手に取り、読み始めたエドワードを見ても私は不思議と何の感情も浮かばなかった。  


 婚約破棄という言葉を口にする時でさえ、頭が研ぎ澄まされ悲しみ、不安、怒りでさえも感じることがなかった。



 記事を読み終えたエドワードは顔を上げ、ゴシップ誌を机に置き、頭を抱え息を深く吐き出すと重い口を開いた。


「…シャーロットはこの記事の内容を信じているの?」

 

「エドワードはこの記事は嘘だと言いたいの?経済省の長官はあなたの父であるテイラー・クラーク様お1人で、その子息はエドワード、あなただけだと思うのだけど、間違っているかしら?」


「違わないさ。だけど…ただ会っただけだ。会談で暇そうにしていた令嬢の相手をしてただけで、熱い夜は過ごしてはない」


 私も記事の内容全てを信じている訳ではない、ゴシップ誌は過激な言葉を使い、読者の心を引く必要があるのは理解していた。


 しかし、写真が撮られている以上、不必要に近づいているのは事実だ。



「熱い夜を過ごしていないとしても、口づけはしたのでしょう?してるように見えるのは私の目が可笑しいだけ?」


「口づけはしたよ。だけど一度だけで、彼女がつまづいたのを支えたら彼女がしてきただけで、直ぐに引き離したよ。何より、僕が望んだ事じゃない」



 エドワードの言葉を聞いて私は笑いがこみ上げてきた。



「エドワード、あなたはまた同じ事を言うのね。学園生時代に私が問い詰めた時も『僕が望んだ事じゃない』と言っていたわよ」


 

 私は婚約破棄を口にする時でさえ何も感じなかったが、エドワードの言葉で初めて感情の昂りを感じた。


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