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ネックレス

「お客様。お待たせいたしました」    



 椅子に座って待っていると、店員が商品を持って来る。



 副所長の空間魔法により、宝石達が亜空間に消えていく。



 私は見慣れているが、店員の顔が引き攣っていた。  



 亜空間に消えていく宝石をぼんやりと見ていると、副所長が近づいて来る。



 副所長は目の前に来ると、箱を差し出す。



「受け取ってくれ」



 開けられた箱には、私が気になっていたネックレスが輝いていた。


 値段を知っている私は戸惑ってしまう。



「こんなに高価な物を受け取れません」


 

 私が断ると、副所長は宝石に魔力を込める。


 魔力を込めると副所長の手が光る、光が弱まるとキラキラと副所長の手の中でネックレスの輝く強さが増していた。



 目の前で、ただの宝石が魔石になったのに驚いていると副所長は甘く微笑んだ。


「シャーロットに似合うと思って買ったんだ」


 

 そう言う姿は王子様の様で、普段と違う副所長の姿に私は固まってしまう。



「……」


「シャーロットが受け取ってくれないと、捨てる事になる」


 

 受け取らない私に、副所長はそう言った。


 純度が高い魔石を捨てられる筈がないのに、そんな事を言う副所長をじとりとした目で見る。



「私が捨てられる訳ないじゃないですか」


 私の言葉に副所長はフッと笑う。



「着けてやるから後ろを向いてくれ」


 

 私は大人しく後ろを向いて、着けてもらったネックレスを鏡で見る。


 綺麗……。


 胸元で輝く魔力を帯びたアメジストとダイヤが美しく輝いている。


 

 ほぅっと見惚れていると、鏡越しに副所長が優しく微笑んでいるのが目に入る。


 副所長の優しい顔に頰が熱くなるのを感じた私は、誤魔化す為にネックレスに見惚れるフリをした。



「もう、ああいう事はやめて下さい」


「どんな事だ?」 


「人が見てる所でプレゼントを渡したりする事です」



 私達を見る周りの視線に耐えられなかった私は、足早に宝石店を出た。


 ネックレスを受け取って恥ずかしがる私を、優しい顔で見る副所長の構図は恋人がプレゼントを贈っているみたいで、恋人同士でもないのに恥ずかしい気持ちにさせる。



 「恥ずかしかったんですから」と言うと、「人前でなかったらいいいのか?」と副所長は的外れな事を聞いてくる。



「そういう問題ではありません」



 意地悪そうに笑っている副所長に注意しようとすると。



「シャーロット?」



 どこからか自分の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

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