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19番街の宝石店

「シャーロット。これとこれ、どちらがいいと思う?」



 私と副所長は19番街の喧騒を歩きながら、おかしな魔力の流れがないか確認していると、いつの間にか宝石店のショーケースを見ていた。

 

 副所長はどちらが好きかと、何度目かの質問をしてくる。


 最初は戸惑いながらも真面目に答えていたけど、回数を重ねる度に困惑する。



「副所長、これは何ですか?私達は買い物をしに来た訳ではないんですよ」



 店員に聞こえないように言うと、「これも仕事だ。魔石にする為の石を買っているんだから」



 確かに、魔法を付与するには石が必要だ。だけど、こんなに高い宝石に魔法を付与しても、高過ぎて誰も買ってくれない気がする。



 店員と話す副所長に、私はハァと溜め息をつく。


 副所長には何か考えがあるかもしれない。


 副所長は私が諦めた事を察したのか笑っている。



「でも、これはおかしいです。こんなに宝石は要りません!」



 私は店員と共に、バックヤードに消えていく宝石達の値段を考えると目眩がした。



 疲れて椅子に座っていると、副所長がやって来る。


「お疲れですか、お嬢様」



 そう言って、執事のように副所長は冷たい飲み物を差し出した。



「ふざけている場合ではないですよ。値札を見ましたか?合計金額がいくらになるか分かっているのですか?」



 飲み物を受け取って「事務の人に無駄遣いをするなと怒られてしまいますよ」と言うと、副所長は不思議そうな顔をする。



「どうして怒るんだ?」


「どうして、って…魔塔の予算が足りなくなりますよ」



 私が呆れて言うと、副所長は「あぁ。そう言う事か」と納得する。



「心配するな。僕が個人的に買った物だから、誰にも怒られる心配はない」


「副所長が買うのですか?」



 普段なら、「個人的な買い物なら仕事ではないですよね」と言っているが、私は買い物の金額に驚いてそこまで頭が働かなかった。



「あぁ」


「値段、見ましたか?」



 コソッと副所長に確認すると、副所長はフッと笑う。



「お金には困っていないから心配するな」



 清々しい笑顔で言う副所長に、面くらった私は副所長の懐事情の謎がまた一つ増えた。


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