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ラミア国に行った理由

「それはアクアダムスと共同で書いた論文だね」


「そうなんです!実は、アクアダムス様の事もとても尊敬しているんです!女性として初めて魔塔の所長になっただけではなく、空間魔法を魔法道具に応用した方ですから」


  

 私が他の国ではなく、ラミア国に留学した理由は、アマンダ・アクアダムス様が所長を務めた魔塔があるからだ。


 アクアダムス様が所長を退任されて時間が経ってしまったが、同じ空間に行ってみたかったから。


 そして、ラミア国は君主制と民主制が共存しており、シェルロン国の貴族社会に疲れていた私にとって、ラミア国は魅力的な国だった。


 アクアダムス様がいなければ魔塔に入る事がなかったかと思うと、アクアダムス様は尊敬だけでは足らない、私の人生においてとても重要な人物だ。



「それは嬉しい話だね。彼女とは学生時代からの友人だが、彼女も喜ぶはずだ。彼女が所長を退任してからはあまり会えていないのが……魔塔には僕より親しい者がいるから彼女の話を聞いてみるといい」


「所長の事ですか?所長からはアクアダムス様の話は沢山聞きました」



 学生時代に魔塔の研修生としていた時から、私は先輩達が呆れるぐらいアクアダムス様について聞いたのは懐かしい思い出だ。


 ボールドウィン所長はアクアダムス様の学生時代からの後輩で、所長からも沢山お話を聞いた。



 マーティン様とアクアダムス様は同い年で今年51歳のはずだから、マーティン様達は30年以上の付き合いになる。


 私にも13年の付き合いになるエドワードがいるけど、マーティン様みたいに笑って話せる関係ではないから羨ましく思ってしまう。


 「最近では聞き過ぎて呆れられてしまっています」と私が言うと、マーティン様は笑い出す。



「ボールドウィンにも聞いたのか。アクアダムスの事を本当に尊敬しているんだね」



 その後、私とマーティン様がアクアダムス様について話していると、マーティン様は思い出した様に言った。



「そういえば、ジェレミーは初めての外国だろ?どうだね、初めての外国は」


 副所長は私がアクアダムス様の話をしているのを見るのは慣れっこで、私とマーティン様が話をしていると、我関せずと優雅にお茶を飲んでいた。


 そうか、マーティン様は副所長が赤ちゃんの頃から知っているから、外国に行った事がないのも知っているのね。



「悪くない」



 フッと笑って言う副所長に「そうか。それは良かった」とマーティン様は優しい笑顔で見ていた。


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