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10年前の約束、10年後の雪だるま

作者: 天江 蜜柑


10年間、片時も忘れることはなかった。くじけそうなときもこの約束が奮い立たせてくれた。女優に、野球選手になることが小学生のお互いの夢だった。親の都合で引っ越すことになった彼女とした約束。叶うまでは連絡を一切取らないこと。叶ったときは、10年後の冬の花火大会、秘密の場所で。


そして現在、左手に懐中電灯、右手にバケツを持って俺は薄く雪の積もった道を早足で進んでいる。俺はとても焦っていた。花火大会の時間を完全に過ぎている。理由は俺の夢が今日叶ったからだ。ドラフト会議で1位指名をされて契約を行った。そこまではよかったし、時間的にも充分な余裕があった。しかし、記者からの取材等で完全に時間をオーバーしてしまった。

今現在、花火大会終了から2時間を超えている。しかも、雪まで降っている。

(さすがに帰ったよな・・・そもそも来てなかったり・・・もしかして約束自体忘れて・・・)

嫌な予感が頭の中を駆け回る。でも、足は止めない。あと少しで目的地だ。

小道からさらに小道に入る。そして、この竹藪を抜けた先が・・・何かが見える。

もしかして・・・・・


雪だるまだった・・・

一瞬理解ができなかった。しかし、こんな場所に雪だるまがあること。自分がバケツを持っていることがすべてを物語っていた。

たしかに、彼女はここにいた。約束通りに、雪だるまを作って。しかし、自分が来るのが遅すぎで帰ったのだろう。

遅かった。夢を叶えるのも俺が1年以上も遅かった。彼女は今や一躍有名人。自分はこれから成果を上げなければ消えていく人間。

「もう少し早かったらなぁ・・・・・・」

瞳から涙が零れてくる。今までどんなトレーニングにも泣き言ひとつ言わないでやってきたのにどうしても溢れてくる。

「遅かったせいで約束を守れなかった・・・」

「ううん、約束守ってくれたでしょ?テレビ見てたよ。すごいじゃん!!」

右肩の感触と声に反応して振り返る。


そこにいたのは・・・・・・



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