#1 始まり
「な...なんでこ...こんなことに..」
アランは弟の手を握ったまま立ち尽くしていた。自分がさっきまで普通に暮らしていた村が炎に包まれていた.....
~一時間前~
「ったく、なんでこんな仕事を俺が...」
アランは愚痴を言いながら村の食堂で掃除員として働いていた。アランが住むアルファ村は貧乏人が集まっている村で、子どもが働くことは珍しくはないのだ。しかしアランは他の子どもよりも大変なはずである。アランの両親はすでに他界しているため、自分で弟の分も稼がねばならいのだ。
「まだ終わってないのか!」
厨房から店長の怒鳴り声が響く
「だって店長、食べ残しとか落ちてて汚いんですよ。俺潔癖症なのに我慢してやってるんだから怒鳴らないでくださいよ。まったく。」
アランが不満そうな顔で店長に反論する。すると店長は厨房から出てきて
「だったらこの仕事辞めちまえ!」
と怒鳴った。
「あっお喋りしてる間に掃除終わっちゃいました。」
そう言うと道具を店長に投げ渡し、走って店から出ていった。
「あっまてクソヤロッ途中だろうがァ」
怒る店長を尻目にアランは逃げだした。
「ったくしょうがねぇな....アランは」
店長は苦笑しながら言った。
アランは村の外れまで逃げてきた。疲れてしゃがんでると、近くにある森から、
「お~い兄ちゃ~ん」
と声がした。森の方から小さい子どもが3人こっちに近づいてくる。そのうち一人はアランの弟である
イツだった。
「兄ちゃんもいっよに遊ぼうよ!!」
とうれしそうにイツは言った。しかし3人はアランの返答を待たずに、アランを森まで引きずっていった。
「兄ちゃん何やりたい?」
汗まみれのイツが笑顔でアランに聞く。アランは
「なんでもいいよ」
と質問から逃げる。
「えーじゃあかくれんぼやろうよ。」
イツの隣にいた女の子が言った。
「鬼は僕がやるよ」
とイツの横にいた小太りの男の子が言った。アランとイツは二人で茂みの中に隠れた。
「ふふっ....久しぶりだね兄ちゃん」
とイツが小声で言う。
「あぁ本当だな。」
アランは笑って返した。
30分ほど経った。
「......鬼....こないな....」
「うんそうだね。」
2人は茂みから出ることにした。すると茂みの中に小太りの男の子が倒れ込むようにして入ってきた。
すると小太りの男の子は、
「む....ら.......」
そう言って何もしゃべらなくなった。息絶えたらしい。
「ねぇ....どうしたの?起きてよ、ねぇ....ねぇってば!!」
そういってイツは泣きながら小太りの男の子を揺さぶった。
「....その様子だともう死んでる.....村の方へ行こう」
アランは静かに言うと弟の手を引き村の方へ歩いて行った。村へ行くとそこには惨状が広がっていた。
村は燃え、矢が飛びかい、道にはいくつもの死体があった。
「ここはまずい.........イツ....行くぞ。」
そういって二人で逃げようとした瞬間、イツのこめかみに一本の矢が突き刺さった。
「イツっ」
イツはなぜか石化していた。アランは泣きながら石となってしまった弟に抱き着いた。しかしそこに再び流れ矢が飛んできた。アランが死を覚悟して目を閉じたとき
「メルヘーゼ連合第一連隊長ホルス....参る」
という声がした。そして金属同士がぶつかる音がした。恐る恐る目を開けるとレイピアをもっった金と黒の髪の毛の男がアランの目の前に立っていた。
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メルヘーゼ#1 終わり
文句あったらじゃんじゃんコメントして。by作者