表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

〔透けすぎる壁〕/〔右左〕

作者:

〔透けすぎる壁〕


夕方

耳鳴りに飽きて

なんともなしに窓を開く

目の前の通りから

大気の音に包まれて

様々な息吹が

入れ替わりながら流れ込んでくる


遊ぶ子供達のはしゃぎ声

買い物帰りの主婦の自転車

通りすがりの男の電話

老人達のにぎやかな会話



通りが静かになってから窓を閉じると

そこに留まるものが目に入る



何も言わない影が

1つ



見かねてカーテンで遮り

掛け布団で全身を守る


心臓と呼吸の音で

透けすぎる壁のことをかき消しながら

ずっと

ずっと







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 〔右左〕



裸足でゆっくり

右左右左

日に焼かれたアスファルトを延々と

右左右左


鼻に流れ込むのは

擦り切れ焼けただれた肌の臭い


美しい蜃気楼を視界に収め続けて

右左右左

暑さで焦点の定まらない瞳を向けながら

右左右左


途切れぬ日差しから

身を守ろうとも思えない


地に足を触れさせぬようひょこひょこと

右左右左

急ごうとつゆも考えず

右左右左


何も追っちゃいない

骨の髄まで黒焦げにされるのを

待てなかっただけ

倒れそうになったはずみで出してしまった足を

止められなくなっただけ


臆病者は今日も

右左右左

美しい蜃気楼を追うふりをする







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ