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27 薔薇の剣士 vs ミヤビ

 赤薔薇の剣〈クリムゾン・スカイ〉を携えて立ちはだかるミヤビに対して、雅雄とツボミは青薔薇の剣〈ブルー・ヘヴン〉と黒薔薇の剣〈ブラック・プリンス〉を取り出す。しっかりと手を握ったまま二本の剣を交差させ、二人はオーバーライドを発動する。




「今、青薔薇の奇跡はこの手の中に!」「そして、黒薔薇の永遠は二人を包む!」


「「奇跡の願いは永遠となり、運命を切り開く! 目覚めよ、薔薇の剣士!」」




 雅雄の青、ツボミの黒のオーラが混じり合いながら放たれ、収束とともに『薔薇の剣士 Lv.40 デューク』が姿を現す。いきなりLv.70になると消耗が激しいので、まずは様子見だ。


 美しき二本の剣を携えた薔薇の剣士は〈ブルー・ヘヴン〉の切っ先を『平間ミヤビ Lv.51 マジックナイト』に向ける。


「「ボクたちは変わった……! 君には負けない!」」


 薔薇の剣士を見てもミヤビは何とも思っていないらしく、ニヤニヤと笑ったままだ。


「お兄様、それで強くなったつもりなの? どう見てもツボミのイメージに引きずられてるだけじゃない!」


 確かに、薔薇の剣士は仮面の剣士──ツボミの兄と、現実でのツボミを掛け合わせたような姿をしている。でもそれは雅雄がツボミの兄の強さを知っていたからで、ツボミの強さを認めたからだ。


「「だからどうしたって言うんだい?」」


 薔薇の剣士はミヤビに斬りかかる。ミヤビは手にしている〈クリムゾン・スカイ〉をうまく使って、二本の剣による連撃を捌く。構わず薔薇の剣士は攻撃を続けるが、ミヤビのガードは堅く、ダメージを与えるには至らない。


「「守ってばかりじゃ勝てないよ?」」


「挑発のつもり? この状態だとお兄様たちは何もできないでしょう?」


 ミヤビは余裕の笑みを見せる。ミヤビの言うとおりではある。〈ブルー・ヘヴン〉のステータス上昇も、〈ブラック・プリンス〉の時間加速も、相手にダメージを与えなければ発動できない。こうやって全ての攻撃を防がれている間、薔薇の剣士は決め手を欠いてしまう。


「でも、攻めないと面白くないわね……!」


 仕掛けてくる。薔薇の剣士はとっさに横っ飛びしてミヤビの攻撃を避ける。避けながら、熱波が薔薇の剣士がいたところを通過したのを感じた。


「惜しいわね。当たったと思ったのに」


 ミヤビが撃ち出したのは巨大な炎の渦だった。〈クリムゾン・スカイ〉の切っ先から放たれた炎は薔薇の剣士に避けられて背後の大木に命中し、炎上させた。炎は木を焼き尽くしても消えることなく、その場で燃え続けている。


「「塔の中でPKしていたのは君だったのか……!」」


 すぐに薔薇の剣士は思い当たった。石川たちを殺したのはミヤビだったのだ。あっさりとミヤビは認める。


「そうよ。お兄様と戦うのを邪魔されたら困るもの。邪魔者は、みんな死んでもらったわ。お兄様がここまで昇って来られたのは私のおかげってこと。感謝してよね、お兄様!」


「「頼んでないよ、そんなこと……!」」


 ミヤビはニッコリと笑い、薔薇の剣士は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。ちょっかいを掛けると返り討ちにされかねないメガミのパーティーだけは無視して、他のパーティーは皆殺しにしていたのだろう。


「私の炎は消えないの……! 敵を焼き尽くしてしまうまで!」


 ミヤビは炎の渦を乱発する。薔薇の剣士は魔法を打ち消すことができる〈ブラック・プリンス〉で迎撃する。〈ブラック・プリンス〉の真っ黒な刀身に触れた炎は一瞬にして消失した。


「「ボクらを焼くことはできないよ……!」」


 攻めなければ勝てないのは薔薇の剣士も同じだ。ボヤボヤしているとオーバーライドの限界時間が来てしまう。


 〈ブラック・プリンス〉で炎の渦を消しながら、薔薇の剣士は突撃した。万が一炎の渦によるダメージを受けたとしても、〈ブラック・プリンス〉を装備していると状態異常を無効化する。炎による継続ダメージを受けて薔薇の剣士が死ぬことはない。ミヤビの炎は、薔薇の剣士にとってそこまでの脅威ではなかった。


 周囲が炎上する中、薔薇の剣士は狂ったように剣を振るうミヤビ目がけて駆けていく。先ほどは全て捌かれたが、一発入れれば状況はひっくり返るはずだ。


「フフフッ、そんな乱暴な攻め方で通用すると思ってるの?」


 薔薇の剣士は勢いのまま斬りかかるが、ミヤビはダンスでも踊るかのように軽くステップを踏み、捉えさせない。深紅のドレスのひらひらした長いスカートがくせ者だ。足運びが全然見えず、間合いが計れない。


 逆に薔薇の剣士は一発喰らうことを警戒しなくてはならない。レベルはミヤビが上だし、〈クリムゾン・スカイ〉は薔薇の剣士が振るう二本の名刀と同等の破壊力を持っていると見ていい。一撃で勝負が決まってしまう可能性さえある。


 炎に囲まれながら、二人は剣をぶつけ合う。多分、初撃を入れた方の勝ちだ。お互い一発も当てられないまま、斬り合いは続く。

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